見出し画像

「ゲーム理論」でみんなの幸せを考える!

2学期最初の算数(数学)のテーマは、ずばり

「ゲーム理論」


ゲーム好きが飛び上がって喜びそうなテーマですが、
switchなどのゲームとは関係ありません(笑)

「ゲーム理論」は20世紀に生まれた
新しい数学の分野です。

フォン・ノイマンというヤバい頭脳を持つ数学者らが
提唱して始まりました。

フォン・ノイマン(Wikipediaより)



IQテストってありますよね。

だいたい、100が平均となっていて、
130くらいあると「ギフテッド」と呼ばれる
突出した才能を持つ人と判断されることがあります。

アインシュタインは、
160~190くらいだったんじゃないか?

といわれています。
実際にIQテストを受けたわけではありませんが、
だいたいこのくらいだと推定されています。

レオナルド・ダヴィンチは、180~190といわれます。
恐ろしく絵がうまいだけでなく、科学者としても
時代の先を行くようなケタ違いの頭脳を持っていました。

で、フォン・ノイマンはというと・・・

300

だといわれています(笑)

「人間のフリをした悪魔」
とか
「火星人」
と呼ばれていたそうな(笑)

10とか20ちがうだけでも
だいぶ違うはずなのですが、
新しい時代を切り拓いた天才たちよりも
100くらいIQが高いという、ヤバい数学者。

そんな人が仲間と考えた理論が、「ゲーム理論」です。

「ゲーム理論」とは

「あるルールの環境(=ゲーム)の中で、
各プレーヤーがどう行動するかを分析する学問」

です。
ゲーム理論が分かってくると、
・自分が損をしない方法を探す
・自分が得をする方法を探す
・ゲームの中で一番良い答えを探す
・お互いが自分中心で動くとどうなるかを予想する

といったことを考えるのがうまくなっていきます。

こんなにおもしろい名前と、示唆のある内容なのに、
学校で習わないなんて、実にもったいない。

わたしが算数・数学の授業を担当させていただくなら、
ぜひ取り上げたいと思っていたテーマのひとつでした。

このテーマを選んだのは、
ゲーム理論には「数学」という
純粋である意味で非人間的な学問の中にあって、
「社会においてベストな判断・行動とは何か?」
「自分本位で動いていると、
 社会にどんな悪影響を及ぼすか?」

ということを、ロールプレイングの中で
各人が氣付いていくことが期待できる
からです。

数学を起点に、
徳性を養う授業がしたい

と思ったわけです。

ゲーム理論を平たく言うと、
「他者とのWin・Winを築く道を探る考え方」
と言えるでしょう。

単なる合理的思考確率論をこえて、
心理学をも内包して考えていくおもしろさがあります。

生徒たちには、プレーヤーとして
「ゲーム」という名の思考実験の中に立っていただき、
自分ごととして考えていただきました。

【ゲーム 1:10本の「うまい棒」を3人で分ける】


実際にうまい棒を使ったわけではありませんが、
プリントしたうまい棒の絵を使って、
3人でうまい棒を分け合ってもらいました。

1本、2本、3本と、順番に好きな味を選んでもらいましたが、
最後の10本目で問題が発生します。
ここからが「ゲーム理論」のはじまりです。

Aさんは、
・うまい棒をゆずる
・うまい棒をゆずらない

という2つの選択肢の中から、自分に有利な方を選んでもらいます。

「年上だから」とか「○○○味は別に食べたくないから」
というのは不要。
生徒たちには”うまい棒の亡者”(笑)を演じていただきました。

2つの選択肢のうち、ゆずる選択をした場合は、
・Bさんが食べる
・Cさんが食べる
・誰も食べない(全員がゆずる)

という3つのパターンが考えられますが、
いずれにしてもAさんが食べる可能性は0%となります。

というわけで、うまい棒を食べたいのなら「ゆずらない」
という一択となります。

BさんもCさんも、結局はAさんと同じ選択をすることになります。
みんなゆずらないので、話し合いになりました。

この場合、残りの1本の決着は
次のいずれかとなるのが普通です。
・じゃんけん
・うまい棒を3等分する


じゃんけんとなった場合、勝てば1本もらえますが、
勝てる確率は3分の1。

3人の全員が、負ける可能性の方が高い中で闘うことになります。

うまい棒を3等分する場合、
食べられる量は少なくなりますが、
確実に全員が食べられます。

話し合うまでもなく、「3等分しよう!」
という平和的な解決を得ました。


ゲーム理論としても、これが一番よい解決策となります。

【ゲーム 2:2人の容疑者と1人の取調官による、自白をめぐる心理戦】

容疑者役を2人、取調官役を1人選びました。
あらすじはこんな感じ。

ある時、AさんとBさんの2人が
何かの犯罪容疑で逮捕されました。

しかし、実際に犯罪をしたのかどうか
証拠が不十分でした。

警察は、彼らが自白すれば犯罪に問えますが、
黙秘したままでは罪に問えません。

-取調室-
取調官は容疑者Aを取り調べています。
しかし、容疑者Aは黙秘を続けています。
このままだと罪に問えず、
容疑者は釈放されてしまいます。

取調官は容疑者Aにこう言いました。

「素直に自白すれば
 お前の罪を軽くしてやろう。
 普通は懲役5年だが、特別に懲役2年にしてやる。

 ただし、自白すればBの罪が確定し、
 懲役10年になる。
 2人とも自白した場合は、2人とも懲役5年だ。」


Bさんは別室でこの会話を聞けないことになっています。

Aさんは、損得を考えて
あっさり自白しました(笑)


次に、まったく同じことをBさんにも行いました。

Bさんはすごく悩んだ上で、自白を選びました。
つまり、このゲームは2人とも懲役5年で決着しました。

さて、このゲームにはもっと良いエンディングがありました。

それは

「2人とも自白しないで、2人とも釈放される(懲役0年)」

という選択です。

俯瞰して考えれば簡単なことなのですが、
もう1人と会話ができず、
・自分がより得をすること
・相手に裏切られて大きな打撃を受けないこと
という自分本位な考えに囚われてしまうと、
「自白しない」という決断をすることはできません。

もちろん、Bさんが信頼できる相手であることも大切です。

このような、それぞれが自分の利益を優先してしまうことで
結局は損な結末に陥ってしまう
ことを

「囚人のジレンマ」

といいます。

この「囚人のジレンマ」は、
社会のあらゆるところで実際に目にします。

例えば、どちらが臆病者なのかを決めるために
「チキンレース」を行うような場合。

2人がそれぞれ車を運転し、相手に突進していきます。
避けたら「チキン(臆病者)」。
臆病者と言われたくない人は、避けないわけです。
しかし、2人とも避けなければ、2人とも死んでしまいます。

この場合の一番良いエンディングは何でしょうか?
そう、2人ともゲームからおりて仲直りすることです(笑)

このほか、今は

「令和の米騒動」

などと言われますが、
これもまさに「囚人のジレンマ」。

テレビのニュースをみて、
「米がない!?すぐに買い占めなきゃ!」
という人は、残念ながら
・自白した囚人
・チキンレースで最後まで避けない人
と同じ選択をしている
と言わねばなりません・・・

「令和の米騒動」というリアルゲームで
わたしたちが取るべき選択とは何でしょう?
・米が出回る時期まで、お米をちょっとガマンする
・お米以外の食べ物(そばやうどん、パンなど)を食べる
・これを期にダイエット(糖質制限)に挑戦してみる

など、俯瞰してみれば、いろいろ道はあるわけです。

この「囚人のジレンマ」は実に奥が深く、
・値下げ合戦
・家事(やりたくない仕事)
・いじめ
といったリアルなことも分析できるようになっていきます。


生徒たちは今後、様々な契機で
リアルにゲーム理論を活かす場面に
出くわすことでしょう。

自分本位な行動
疑心暗鬼を自ら戒めるためにも
このゲーム理論は
早いうちから学んでおいて損はないと思います。

社会というリアルなゲームの中で、
勇氣をもって皆の幸福を願った行動を
取れるかどうかは大切です。

生徒たちが単なる知識を越えて、
よい判断(見識)
よい決断と行動(胆識)
を備えてくださったら、
これほど嬉しいことはありません。

文:前田友和

―――

ほんもの寺子屋 9月体験授業

9月15日(日)
1時間目(10:10-11:00)
理科

2時間目(11:10-12:00)
国語・算数
―――
授業内容は、当日参加される方によって変わります。

学年、性別、性格、興味関心等、お子さんに様々な違いがありますから、参加される方々にとってベストな学び・授業は変わっていきます。体験授業では、その日行うのにベストな内容を準備して行いたいと思っています。お申し込みの際は、お子さんの興味ある分野などを教えていただけますと、当日の体験授業がより楽しく充実したものになるでしょう。

[こんな方に授業を体験いただけます!]
①ほんもの寺子屋に入りたい、入ることを考えてみたいという小中学生とそのご家族
② ①以外の方で、ほんもの寺子屋の授業を見学・体験してみたい大人

見学料:①の場合、1家庭1000円。②の場合、1名3000円
定員:8人

[注意事項]
寺子屋に通っている生徒は参加せず、希望者のみの体験授業となります。
場所は甲府市富竹2丁目の教室です。詳しい場所は、申し込みの後にお知らせします。
https://pro.form-mailer.jp/lp/c3cc9f8a308320

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?