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No.5 孤独の向こう側〜戊辰

私の考えは複雑で難解で
たぶん誰からも理解されない
うっかり分かち合おうものなら
人は驚き、たじろぎ、眉をしかめ
異常だと嫌悪する

小さい頃からそうだった
みんなと普通にいたいのに
自分だけがずれていき
結局、悪目立ちする
他とは長さも向きも違う
この両手の親指のように

そんな時にはそらみたことかと
私の孤独がせせら嗤い
勝ち誇りながらこう告げる

孤独の世界の囚人よ
早くこっちに戻っておいで
ぽっかり空いた漆黒の
思考の沼の深みの中に

やはり
ここにいると妙に落ち着く
昔いた懐かしい穴蔵みたいに
ただ温もりの中でポワンと
好きなだけ思考に耽りながら
宙に浮いているような感覚
外界音は ガサっガサっと一定を保ち
有難いことに全く意味を成さない
浮かんでは消える思考のあぶくを
ただぼんやりと眺めていればいい

はるか向こうに光がさした
来た方向とは真逆だから
もとの世界からではないはず
さすれば
私はここに留まることもできるし
新たな世界に進むこともできる
果たして
そこでもまた嫉妬の渦にのまれて
孤立し苦悩するのか
はたまた、人のぬくみを感じ得るのか
いずれにせよ、さほど期待はしていない
孤独のまま無難に関わり合えるのなら
それで、十分だ


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