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病院:週末勤務明け日記

病院にはさまざまな人がやってきます。

午後9時。大喧嘩をして、家の階段7段上から咄嗟に飛び降り、かかとの骨(踵骨)を骨折したという32歳の男性が救急車で搬送されてきます。患者さんはまだ興奮状態、非常に汚い罵り言葉を叫んでいます。

普通の骨折の場合は、すぐさま緊急手術ということはあまりないのですが、この例は踵の骨折部分がアキレス腱に引っ張られ皮膚を圧迫している状態のため、24時間放置していると皮膚壊死を起こす危険があるため、緊急手術になります。自宅待機のコンサルタントに電話、CTスキャンのオーダー、手術室に電話、麻酔科医に電話、患者さんと話し、患者さんの家族と話し、としていると、長かった今日の勤務の終了時間は簡単にオーバーしていきます。

もし、この男性が自分の彼氏・夫だったらshiiki19911005さんのように
「なにぃ〜 喧嘩して飛び降りた? このボケカスがよぉ」

心の中の叫び by shiiki19911005 インスタグラム

と心の中で叫ぶこと間違いなしの不慮の事故です。

そうです、ここで何よりも大切なこと、それは「心の中」に留めておくこと。この患者さんも、そして周りの家族も、そして、この患者さんをケアする医療従事者も、すべてこういった状況下で、誰も罵りことなく、批難することなく、淡々としている態度をとることができることが大切です。なぜなら、あからさまな熱く煮えたぎった怒りが、状況を好転させることはないからです、いや、むしろ、そういった思いを爆発させる人が一人でもいれば、それは周りのすべての人間に伝染し、私たちが思っている以上に状況をより最悪な方向に導いてしまうからです。それは患者さん自身にも知っておいてほしいこと。その「悪態」はわからないでもないけれども、じわじわと周りに影響し、結果として、助けてあげたいと思う気持ちが40-50%も失われてしまうからです。

最近になり、病院というストレスフルな職場でのCivility (=礼儀正しい、愛想がいい、丁寧)な態度が、チームワークを向上させ、結果的により良いケアにつながるという研究がいくつも発表されています。

この研究では、明らかに不適切な態度(怒鳴る、大声で叫ぶなど)をとるということの悪影響だけでなく、ちょっとだけであっても、rude=無礼な態度をとる人(同僚)がいると、周りは発揮できる力の容量が100%→60%ほどに減少し、最終的にそのチームのパフォーマンスが最悪の方向にいくことも、つまり、患者さんを救えないだけでなく死に至らせるというさえある、と示しています。

つまり、腕のいい医者が患者を救うのではなく、

Civility saves lives =礼儀が命を救う

ということなのです。まあ、ドクターXの大門未知子が無礼なのか、それとも礼儀正しいのかといえばむしろ無礼な人の例として描かれているのだと思いますが、本当に必要なのは、大門未知子のような一人の大スターではなく、淡々として動じない、愛想が良くて丁寧なチームメンバーで構成されている組織ということになるのですね。

rude=嫌味を言ったり無愛想だったりする人が周りにいると
やる気度は一気に下がる


終了時間をオーバーして帰宅の途につきました。家にこれから帰るよと電話を入れると、疲れているだろうから病院内に泊まったら?と言われたのですが、情けないことに病院内に泊まると最近よく眠れない、寝付けないという状況が続いていたので、どんなに疲れていてもやっぱり帰りたいと車を発車。

毎日走っている慣れている道なので、どこに信号があり、どこでスピードを落とし、などの細かいところまでまるでAIのように記憶しているのです。旅のお供は現在貴志 祐介の「天使の囀り」

Audibleで聴いてます

3分の2走ったところぐらいだったかな、こんな夜中なのに、左手に人が二人立っているのが見え、ハッとそちらを見ていると、

ドラレコで記録されていたもの、帰り道、カーブが続くのと、街灯がない場所も多く、暗い。
左に人が二人立っていた、そして、ロードキル

すぐさま道路にシカの死骸が横たわっているのが見えましたが、

避けきれず

この死骸の上を通過してしまいました。ゴン!ゴツン!

多分、画面左側に立っていた人々の車はこの大きなシカと衝突したばかりだったのだとそういう雰囲気でした。

あああああああ!

どうして、こんなに私は反射神経が鈍いのか。なんでコンピューターゲームのようにやってくる障害物をひらりひらりと避けてゴールできないのか。生きてジャンプしてきたシカを避けるという高度な技を要求しているのではなく、道路に横たわって死んでいるシカさえも避けることができないなんて。しかもつい最近の去年の11月、2週間もの間、車を修理することになった事故を起こしたばかりなのに。

明日は3件も家を見にいく予約を入れていて、朝から晩まで車を使う予定だったのに。

車は普通に走っているのですが、アクセルを入れると「カラカラカラ」という軽い摩擦音が車の下から聞こえててるのです。とりあえず、壊れている様子ではなかったので、車は止めずに帰宅しました。

今日は不動産屋さん3件に電話し、家の見学をキャンセル、車の保険屋さんに電話して、修理の依頼、そして今ココ。夫には、だから病院に泊まれって言ったよね?と言われシュン。

まとめメモ

  1. 悪態をつく、無礼、愛想がないなどのrudenessは静かに周りに影響し、結果としてすべてを悪い方向に持っていくという研究結果が出ています

  2. 二度あることは三度ある、これからは無理をしないで病院に泊まります

  3. 慣れた道でも過信しないこと

  4. コンピューターゲームで反射神経、養おうかな。


このエンジェルナンバーの意味はいいことあるはずだったのに?
(kinaさん教えて)。







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