ZAN☆NEN☠️③
中学校。「センパイ」という誰もが怯える人種が蔓延る新世界。センパイの口から「調子乗ってる」の言葉が出たら最後もう助かる道はありません。
ドタバタと要領の悪い私も中学生になりました。ピカピカの制服に身を包み、ブカブカのヘルメットを被る可愛らしい女の子です。もちろんこれまで記述した通り、相変わらず残念なお子様です。
中学校といえばそう
部活動!!!!
バレー部🏐バスケ部⛹️♀️テニス部🎾ソフト部🥎卓球に🏓陸上部…どこに見学に行っても楽しそうでキラキラしていました。年上の先輩達はとてもお姉さんに見え、みんな優しく声をかけて可愛がってくれました。
その中から私が選んだのはテニス部!
テニス部には専用のテニスコートがあり、体育の授業でもやったことがないスポーツだったため一際輝いて見えました。何より顧問の先生が若い美人なお姉様で、所属する先輩達もド美人ばかり!「いい匂いがしそう」とルンルンで入部届けを出しました。
そう、これが私の大失敗だったのです…
テニス部、そこは魑魅魍魎が蔓延る巣でした。入部届けを出し正式に入部が決まった瞬間、先生から号令がかかります
「よしきた!お疲れ様でした!」
!!!?
怯える一年生達に先生が告げます
「実は猫をかぶって部員を集める作戦でした。実際はガチで上を目指す部活だから一緒に頑張ろうね💓」
あんなに優しかった美人なお姉様顧問は実はガッハッハ!!と笑う気の強いドS、手取り足取り教えてくれた先輩達はえ?海賊なの?と思うほどキャラの濃さ
気の弱いポンコツが迷い込んだのは新世界でした。日頃からお姉ちゃんに散々弄られており、「弱者」として生きる私の本能がここはやばい!!!早く逃げろ!!と警鐘を鳴らします。
ところが幼い頃からやらかしまくるこのキャラだった為、先輩も先生もすごく可愛がってくれました。魔物達からみれば異世界の面白生物にでも見えたんだと思います。海賊船に乗り込むコビーの気持ちがとてもよくわかりました。
顧問のドSは理科の先生でした。部活だけではなく授業で私のクラスに来た時も私を構い倒します。
「はいじゃあここ、ふぅ⤴︎じぃた」(仮名)
独特すぎるイントネーションで私を指します。先生はずーっとニヤニヤと笑顔です。理科のテストで変な点数を取ろうもんなら確実に殺される…勉強もポンコツな私は理科だけは死ぬ気で勉強しました。先生、私は今でも忘れません。
👩🏻🔬「みんな火成岩はこうやって覚えるように!!」
リカちゃん焦ってゲロ吐いた
下品なことが大好きな中学生もこれにはドン引き…もっと、こう、なんかあっただろ…
だから結婚できなかったんだよ…
そんなに綺麗なのに…残念なんだよ…
そんな事を言おうもんなら命はありません。
コートでも先生は恐ろしく、獲物を狩るような目でプレーを見ています。ビッグマムに睨まれたら丸腰の下っ端海賊は縮み上がります。あの独特なイントネーションの「ふぅ⤴︎じぃた」は毎日怒号としてコートに響き渡ります。毎日鼻水を垂らし号泣しながら海賊達とテニスをする光景は今考えると相当にやばかったと思います。
海賊達とは違い私は真面目でチキンでした。コビーそのものでした。うまくいかず怒られると帰り道、悔しくて泣きながら自転車を漕ぎました。海賊達とは違い言い返したり、ルールを破る度胸も発想もない私は、もちろんジャージはシャツイン、それに加えてあげパンでした。
あげパンシャツインの半袖ハーパン。白いハイソックスを履き、鼻水まみれでエンエン号泣しながらヘルメットを被り自転車をこぐ姿はヤバイ奴以外の何者でもありません。
休みの日はユニフォームを着用しての練習でした。強豪はよくわからない柄のユニフォームを着るもんだ!という先生の謎のこだわりから、右腕にシーラカンスが宿ったような赤黒白を基調としたド派手なユニフォームでした。背中には大きく「フジタ」(仮名)のゼッケン付き
普段の自転車姿でさえやばいのに、休日になるとシーラカンスが宿る派手服に身を包み、背中には「私はフジタです!!!」と主張の激しいゼッケン付きです。あげパンシャツインの号泣自転車の藤田さんはすぐにご近所で有名になりました。
弱気でポンコツな私は先生が見ていない時はとても調子が良くなるというZAN☆NENな選手生命を送るのです。
先輩達も普通ではありません。あんなに怖いドSな顧問にも物怖じせず食ってかかります。
は?この世界の主人公は私以外いなくない?
が基本スタンスの我の強すぎる11人の先輩達。
実はここで出会う先輩達にはこれからの人生ずーっとお世話になるのです。それはまた次回高校の記事でお話ししますね
そんな新世界に放り出されたコビー的生き方をしていた私はあいも変わらずZAN☆NENです。
幸い運動だけは出来た私は1年生の時からずっとスタメンでした。海賊達もポンコツな私を見捨てずお姉ちゃんのようにずっと面倒を見てくれました。
ある夏、大事な大会がありました。ただでさえ怖いのに忘れ物をしようもんなら…とビクビクしながら念入りに準備を進めていざ出発!
遠い会場の為母に車でコートまで送ってもらい、誰よりも早く会場入りした私は準備を整え先輩達を待ちます。全ての準備を終わらせ先輩を迎えた頃、先生が来ました。
おー藤田!緊張して眠れなくて寝坊したかと心配してたのに偉いぞ!!!
久しぶりに褒めてもらえました!
先生にも先輩にも目をかけてもらい褒められた私はニッコニコでした。それはもうニッコニコ。
その時です
あれ?藤田ラケットは?
血の気がサーっと引きました。世界から音がなくなり無音の世界です。私が持っていたのはお昼ご飯が入ったバッグのみ。いくら背中を触ってもラケットバッグがないのです。
先生も先輩もゲラゲラ笑っています。過呼吸になるほど笑う海賊達が私の母に電話をしてくれラケットを届けて貰うことになりました。
他校の先生が顧問に話しかけます
「期待の可愛い新人はいったんだって?」
顧問は私の肩を抱いてとなりに立たせます
「こいつです!もー可愛いんですよ今日もテニスの大会にラケット忘れてきて。そのくせお弁当だけしっかり持ってピクニックにきたポンコツなんです」
なんでバラすのおおおおおおおおおお!!
それからしばらく私は地区の他校の先生からポンちゃんと呼ばれることになります。
中学になってもZAN☆NENを更新し続ける私。
相変わらず家庭内でも残念でした。
忘れもしない卒業式のあの日、東日本大震災にあいました。卒業式が終わりひと段落、この後のクラス会に向けてお昼ご飯のラーメンを食べて準備をしている時です。
ゴゴゴゴゴゴ!!!
感じたことのない大きさの初期微動でした。これはやばい大きな地震が来ると思った時です。
ゴゴゴゴゴゴガッシャーン!!!
主要動が来た瞬間キッチンの食器棚が倒れた音がしました。あんな大きな災害になるなんてこれっぽっちも思わない私は倒れた食器棚の音を聞いて
あ、お母さんに殺される
と本能的に思いました。その時家には姉しかいません。激しい揺れの中自室にいる姉にこの事を伝えます。
おねええええええええええ!おねええええ!!おねええええええええ!やばいよ!おねええええええええ(大絶叫)
大惨事に直面すると人は語彙力を失います
リビングにいる私は必死でした。
倒れた食器棚は後でお叱りを受けるとしても、これ以上怒られないためには!!必死に頭をフル回転
買ったばかりの大型テレビ
稼働中の石油ストーブ
コップに注がれたカルピス
ラーメンの残り汁
…
あんなに避難訓練を重ねていても、国語を学んでいても、有事の時は人は何も冷静になどなれないのです。
ああカルピスが溢れちゃう!ラーメンの残り汁が!火傷しちゃう!ストーブも止めないと火事になる!テレビを死守しないと!
キャパオーバーです。
お姉ええええええ!!!お姉えええ!!
相変わらずそれしか声が出ません。
立っていることさえもできない震度6のゆれ、キャパオーバーの私は全てを守らねばと動きます。まずは命を守ることが第一なのに。終わった後今になって未曾有の大災害である事は分かりましたが、その時は想像なんて出来ません。
右手にカップヌードルを持ち何度も転びながらもストーブを消しに走ります。側にあるテレビにも手を添え必死に叫びます
お姉ええええ!!!お姉ええええ!
長い長い揺れが終わった頃私は絶望しました。
カルピスはこぼれ、テレビは倒れ、ラーメンのスープもぶちまけてしまっていたのです。しかも零した場所は股上。お漏らしをした風なのです。あんなに守ろうとしたストーブは実は初期微動の段階で振動感知で自動停止していました。なのに!必死に守っていたのです…
お母さんに殺される…
それだけでした。あんなに助けを求めた姉は自室で倒れる本棚の下敷きにならないよう命懸けで耐えていました。避難経路を確保すべくあの揺れの中、窓まで開けていたそうです。
私はというと…
おねええええええ!!(大絶叫)
大パニックでお漏らし風になっただけだったのです。慌てて避難した避難先でも
あの子怖くてもらしちゃったんだ…
という哀れみの目が痛かったです。
大海賊時代、そして大震災を乗り越えた私はもう何でもできる気がしました!次回大波乱の高校編です。
#stay_home #stay_at_home #おうち時間 #部活の思い出 #テニス
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?