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『理不尽な進化』を読んだライ麦畑のキャッチャー


この春、『理不尽な進化』という本を読んだ。

絶滅という観点から生物の歴史を眺め、俗説が人びとを魅了する構造を理解するように纏められた本。


目から鱗すぎた。ほんとうにオススメ。

これまで99.9%もの地球上の生き物が絶滅したが、その原因は遺伝的劣性のせいではなく、単に間違った時期に間違った場所に存在してしまったという『不運』のせいだという。


運の悪さで一族滅亡、なんと哀れな…


自然淘汰は、強者を選ぶのではなく「適者」を生き残らせるプロセスである。


社会でも、この運の悪さが実力の無さみたいにイコールで考えられる節がある。このモヤモヤが実は進化論の誤った理解によるものではないか…

人間社会や一定のコミュニティでは運悪く「適者」になれなかった人が、残念ながら悪意に満ちた世界から泣く泣く退場させられることもある。

ただ、生物の進化と違い、それでもどうにか足掻きながら必死に喰らい付いていくすこぶるタフな奴らもいる。


そういう、ズレを感じながらも飄々とうまく生きていく人が好きである。
斯くいう私も、え?ズレてる?と不安になることがあるから。


飄々としているひと、とても好きである。


私は、そんな私だからこそとでも言うべきか、コミュニティの「適者」枠から危うくはみ出ようとしている人、もしくはもうはみ出しちゃって落下寸前のアブナイ人、辛い思いをしている人を崖の手前できゅっと抱きしめてキャッチする人になりたいのだ。

…サリンジャーの『キャッチャーインザライ』にかなり触発されすぎている。

『キャッチャーインザライ』では、社会からドロップアウト寸前の主人公自身が、危なっかしい子供たちが崖から落ちてしまわないように捕まえる人になりたいと言う。

青春小説でありながら、どこか社会人生活にも慣れて周囲に嫌気が差して辟易して、社会の欺瞞や大人の矛盾に疲弊しきった自分の心にこれもグサッと刺さった。

そして染みた…
染み渡った…


ライ麦畑のキャッチャーに 俺はなる!

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