激しく黄色いあのポスターの話
この世で一番、黄色が好きだ。
ひまわり、レモン、とうもろこし、卵の黄身…
無条件に明るく、底抜けに潑剌と、心底嬉々としている感じがいい。
YELLOW!! というのもなんかいい。
なんともご機嫌な色である。
私は映画『リトルミスサンシャイン』の激しく黄色いポスターを仕事用メールのアイコンにしている。
理由は二つ。一つはただただ激しく黄色いから。
そしてもう一つは、人間の愛おしさを否応なく突きつけられる作品だから。
ワーゲンバスに人々が乗り込もうと追いかけている姿。
シンプルでありながらも、これだけでもう事件の予感がする。
『リトルミスサンシャイン』は、アカデミー賞4部門ノミネートされたらしい。こんな話である。
あらすじの通り、この家族、欠陥だらけである。
欠陥住宅の擬人化のようなものである。
薬中アル中の祖父、勝ち組を厚く崇拝する父、ゲイで自殺未遂の繊細な叔父、ひたすらに黙る兄、家族をまとめようとするもうまくいかない母、そして自分を美少女と信じてやまない少女…
かなり残念な人たちではあるが、映画が進むにつれて、それぞれの優しさや信念みたいなものや、魅力的なところが少しずつ垣間見えていく。
あれ?なんだかこの人たち憎めないな?超可愛くなくなくない?
そして、大なり小なり程度の差こそあれ、人は皆もれなく残念で欠陥だらけで、なんだか憎めない超可愛い生き物なのである。
美空ひばりも同じようなこと歌ってたっけ。
私はこういう人間という生き物が大好きである。
"Whatever happens, we're a family.
And what’s important is that we love each other."
作中で好きなセリフのうちの一つである。
何が起ころうと私たちは家族。
そして何より大切なのは互いを思い合っていること。
月並みな言葉ではあるが、人間は皆各々の凸凹を受け入れて、テトリスのようになんとかはめ込み合って生きていくのだ。
私が敬愛してやまないヘンテコ賢人作家、夏目漱石も『こころ』と並ぶ後期三部作の一つ『行人』でこう記している。
和して納まる…これだよコレ。
行人を読んだ時、慌てて名言ノートにメモをとったのだ。
何が言いたいかと言うと、私は残念な人間が堪らなく愛おしい。
そして、自分の残念さも是非とも愛したい。
私たちは全員ひとり残らず天然記念物である。
それでは、聞いてください。
THE SUPER FRUITで、『チグハグ』。