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【双子妊娠の振り返り】産科病棟で観る『私、失敗しないので』

多胎妊娠は早産のリスクが高く、管理入院になることが多い。
私も順調な経過を辿っていたが、ついに32週に入った頃に管理入院をすることになった。



管理入院=ひたすら安静に過ごすということ



妊婦の入院には様々な理由がある。
私の場合は、簡単に言えば早産の危険性が高まったので、病院にずっといて体調管理を行い、何かあったらすぐ対応出来るようにしたいから。という理由だった。
私がやらなきゃいけないことは、特にない。
つまり、安静、が唯一の治療法であり、やることである。
早産の危険性が高い人だと、点滴を打ってお腹が張らないようにするという処置が行われるのだが、私の場合は服薬で大丈夫だった。

ただ体調管理と言っても、病院側がやってくれることといえば

•朝の体温等チェック
•お腹にモニター(NST)をつけて、赤ちゃんたちの心拍や動きをチェック
•夜の体温等チェック、赤ちゃんたちの心拍チェック

以上である。
私のお仕事というのは、これらのことに加え朝昼晩とご飯を食べること。お風呂に入ること。排泄。そして寝ること。
たったこれだけである。




暇だ。
とにかく暇だ。



もちろん、診察として先生とお話ししたり、エコーをとってもらったりはあるものの、それも週に一回。
仕事をしながら長男のお世話もしていた頃に比べたら、圧倒的にやることがなかった。






人間とは不思議なものだ。(前にも書いたな、この言葉)
やらなきゃいけないことがある時は、時間がない!やりたい事ができない!なーんていうけれど、いざ腐るほど時間があると、やりたいことが思いつかない。

私の場合は2回目の妊娠だったこともあり、特に力を入れてベビー用品を準備することはなく、かと言ってベビー用品を手作りするような器用さもなかった。




暇すぎて、脳みそ溶けそう。




ええぃ!動画でも観るか。




溶けそうな脳みそを固まらせる効果があるかは不明だが、ポケットWi-Fiを契約し、ひたすらドラマを観まくることにした。



ドラマ好きの友人にオススメをリストアップしてもらい、Amazonプライムでみられるものを片っ端からみた。


救世主、大門未知子


紹介されたドラマ、もちろん全て面白かった。
ただ私がどハマりしたのは、あのセリフが有名な医療ドラマだった。

「私、失敗しないので。」
そう、かの有名な  ドクターX。
なんやかんや大門未知子が最後に全て掻っ攫っていく医療ドラマ。スカッとする。気持ちいい。


地上波の時みてはいたが、まさかシリーズ7まであるとは知らなかった。
米倉涼子が綺麗で(特に足。あと歩き方。)かっこいい。
この人自信に満ち溢れているし、そりゃ失敗しないよな。ビジュアルだけで、説得力あるもん。

ほとんどの話が水戸黄門型で、何があっても大門未知子が手術成功して終わるのがお決まりの形。
だが、それもまた妊婦特有の不安定メンタルの時にみるにはちょうどよかった。
脇を固める方々も素敵な方々で(いいよねー、エンケンさん。一徳さんも相棒の時から好き。)安心感があった。


失敗しないので。の言葉の重さ


ドクターXに関しては、とてもエンターテイメント性が高いドラマだ。
だから肩の力を抜いて観られたものの、病院で観る医療ドラマは、視聴後なんだか考えさせられることがあった。

私が入院していたのは総合病院で、ドクターヘリも来るような大きな病院だった。
ヘリの大きな音がした時は、「誰か緊急搬送されて来たのかな。」と思うことがあったし、
また、昼夜問わず突然「コードブルー」といって館内放送がながれる時もあった。
どうやら緊急に人を集める時のアナウンスだそうで、大音量で聞こえて来る声はかなり切迫感があり、心がざわざわした。


産科は人の命が誕生する場所だ。
しかしこの建物のどこかで、消えようとする命があったり、また治療のために懸命に働く人がいたり、痛みに耐え頑張っている患者さんがいたり。
多くの人が戦っている場所、そして命の最前線。それが総合病院だ。
そんな中で、ドラマのなかではあるが1人の医者が「私、失敗しないので。」と言い切る。
その言葉の重さが、家で視聴した時よりズーンと心に残った。
私たち患者にしてみりゃ、失敗されたらたまったもんじゃないし、誰も失敗を望んでいないだろう。
どの医療関係者も、失敗しないので。と思いながらきっと働いてくれているのだろう。(と、信じたい苦笑)
それでも消えてしまう命がある。
現実はドラマの世界より、何倍も何百倍も厳しい。
人の力ではどうにもならないことだって、多々あるのだろう。
私のお腹の中の子達も、産まれてくるまで何があるのかわからないんだな。
不安というより、覚悟というか、決心というか。
とにかく、動けないベッドの上でぐるぐる考えていた。
(考えることがあったという点では、脳みそ溶けずに済んだかしら?)


医療モノを病院で観る、というシュールさ



とはいえ、あんなヒールにミニスカ履いてて衛生面大丈夫なんか?((みんな踵あるシューズ履いてるし、そもそも私服の人なんていないけどなあ))

とか、

医局?内で患者のことネタにされてたらやだなあ。((確かに職業のこととかバレてる方が看護師さんと世間話しやすいけどさあ))

とか、

賄賂蔓延ってんなあ、みんな金持ちだなあ。((特別病室って産科病棟内には一つしかないって言ってたけど、普通のドアだったけどなあ))

とか、
フィクションなのに病院内にいるからわかるようなチャチャを入れながら観ていたのも事実。
楽しかった。笑



そんなわけで、思うことは色々あったけど、シーズン1から7までとあんなにまとめてドラマを観たのは初めてで、色々思ったけど総じてネタになるとてもいい経験だった。


ベッドの上でひたすら安静生活も、それなりに楽しんだ私なのだった。




コウノドリもみたし、アンナチュラルもみたし、またドラマレビューも書けたらいいなー。



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