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本質的解決策は会社員を辞めることではなかったと気づいた話

仕事辞めようかな…


第2子育休復帰後、複数の部署を経験して気づいたことがあった。
「あ、わたしもう立派な『中堅層』にいるんだ」と。

気がつけば、40歳を過ぎていた。
2人目出産が遅かったこともあり、2年近くのブランク(育休)を挟んで、浦島太郎状態で復帰したころのこと。

1人目のときと比べると明らかに「ママさんだから」という理由は通じにくい環境になっていた。
年齢はあがれど、子どもを持つママとしては、他の若い女性職員と同じ状態であることに違いはない。

子どもの体調不良による急な呼び出しはあるし、子どもの保育園の送迎に関しても夫と分担しながらやっている状態で、まだまだ家庭を優先させてもらいたいところ。

しかし、上司と面談をするたびに、言葉の端々に(そろそろ立場的なこと、組織のことも考えてよ)という思いが伝わってきた。

在宅ワークへのあこがれ


「24時間自分のペースで仕事ができる」
「育児中のママさんこそ在宅ワーク!」
「時間・場所に縛られない働き方」

コロナ渦から注目されるようになった在宅ワーク。
世の中にこうした言葉が飛び交うようになり、仕事と育児の両立に苦しんでいたわたしはこの言葉に一気に魅了された。

その中でも文章を書くことが好きだったわたしは「ライター」という職業に強い興味を持った。

ーもしかしたら、これからの人生に別の道があるのかもしれないー

ストーリーテリングとの出会い

とりあえず、人を魅了する文章を書くためのテクニックを学びたいと思い、ストーリーカレッジを受講することにした。

はじめは、将来が見えなくなっている現状に対し、何かしらのアクションを起こそうというぐらいの気持ちだった。

「この講座を受けたあとの目標は何ですか?ない人はぜひ『Kindle出版』を目指してみましょう
初回の講座で講師である永妻先生にこう言われて、思ってもみなかった夢が出てきた。

わたしでも本が出せる?

すでにブログをはじめて挫折していたわたし。
文章を書くことは好きでも、世の中の多くの人に読まれる文章を書くことがいかに難しいか、ということは痛感していた。

小学生のころの夢だった小説家。
SEO記事は書けなくても「ストーリー」であれば書けるかもしれない。

もともと妄想癖が強い傾向のあったわたしは、いとも簡単に有頂天になった。

これがうまくいけば、ここから仕事の幅が広がり、今の仕事を辞めることも夢ではないかもしれない。

会社員を辞める?辞めない?

ストカレを受講して、作家の夢がどんどん膨らむようになり、わたしの仕事辞めたい熱はエスカレートしていった。

いいことも悪いことも連鎖するループがあるように、一度心に抱いてしまったマイナス感情は、それに引かれるようにどんどんマイナスへと引っ張られてしまうもの。

上司との会話、やり取り、態度すべてが「育児に対する女性への理解のなさ」に感じてしまい、ますます現状が嫌になってしまっていた。

あるとき、別の部署にいる同期(A子)が退職するということを聞いた。
それを教えてくれた同期(B子)と「やっぱり子育てしながら仕事するのってきついよねー」と互いに嘆いていた。

同じように仕事を本気で辞めたいと考えだしていたわたしはA子の今後が気になった。
わたしはB子に、実は最近自分も仕事を本気で辞めたいと思いだしていることを伝えた。

厳しい現実


「それがA子、次の仕事探しに苦戦してるみたいよー。わたしたちの仕事って辞めたら次につながらないような仕事だからねー」
B子からそのことを聞いて、動揺はなかった。

(やっぱりそうよね……)

会社辞めたい熱が出てからもう1年ぐらいになる。
その間にブロガーやライターの仕事についても興味をもって調べたり、転職サイトに登録して、他の働き方も探したりもした。

しかし、どれを選択しても今よりも条件は悪くなるのだ。
今の仕事は子育てに理解がないとはいえ、ハード面での制度は整っているほうだ。

事実上子育てとの両立が厳しくなり、辞めざるを得なくなったり、パートに格下げせざるを得なくなったりした友人たちを多く見てきた。

そして「子育てが落ち着いたら社会復帰しよう」と考えて辞めた女性たちが子育てを終えていざ働きに出ようとしたときに、現役時代の職種に戻ることがいかに難しいことか、ということも聞いていた。

会社員とフリーランスと自分の性格

組織に属しているとどうしても組織の都合のいいように動かされる感がある。
考えてみれば当たり前のことだ。
組織はそれぞれに大きな理念や目的があり、一人では成しえないからこそ多くの人と一緒になって成果を出す。

その意味では、一人でやるより社会に与える影響は大きいといえる。
しかし、一方でみんなで足並みをそろえないと統制が維持されないという面もある。

自分だけであれば、問題ない。対応可能だ。
しかし、ここに子どもがいるとそうはいかない。
自分の生活だけではなく、子どもの生活も関係してくる。

指示されても時間内に仕事を終わらせることができない、子どもの急な発熱でいつ休むかわからないため、仕事の段取りが組みにくい。

子どもがいることで、勤務体制や勤務内容についてみんなと足並みをそろえることができなくなる。

だからこそ「時間に縛られない働き方」ができるフリーランスに魅かれた。
しかし、フリーランスは「時間に縛られない」分、すべてのことが自分の行動量に比例すると聞く。

わたしは心配性の性格なため、何事もやりすぎるほどやらないと安心できないところがある。
この性格を直そうと試みていたが、最近「これは特性の一つ」と思い直すようになった。
もちろん「程度をゆるめる」ような意識改革は現在進行形ではあるが、これを完全になくすことは不可能だと気づいたのだ。

会社員というセーフティネット

そこで、得意の妄想でフリーランスになった場合の自分を想像してみた。
「寝る間も惜しんで、とにかく案件をこなすことに必死になっている」自分が容易に想像できた。

フリーランスになると、働く時間を自分で決めれるだけあって、働けば働いた分収入は得られるし、働かなければ収入がない状態になる。

子育て世代としては、働く時間を自由にコントロールできるために、自分で緩急をつければ非常に働きやすい環境になると思う。

しかし、わたしは「「やらねばならない」と思うと、身を粉にしてまでも没頭してしまうタイプ。
おそらく緩急の「緩」を入れるタイミングがわからなくなって、会社員時代よりストイックになってしまう気がしてならない。

今、かくことが好きでKindle出版にチャレンジしたり、noteやブログで文章を書いているが、これは「生活費を稼ぐ」ことが第一目的にはなっていない。
とにかく楽しいからやっているのだ。

しかし、これを収入の手段としてしまうと、性格的に自分を追い込んでしまう気がした。

これができるのは、組織に属して別の収入を得られているからこそ。
この組織に属しているという「セーフティネット」があるからこそわたしは今「書くこと」にチャレンジできている。

おそらくこのセーフティネットがなければ、チャレンジどころではなく、楽しむことすら忘れて、稼ぐことに必死になるだろう。

組織に属することの恩恵

ネットで「会社員_メリット」と検索してみた。
要約すると以下の通り。

  1. 高額・安定収入

  2. 社会的信頼性が高い

  3. 将来的に厚生年金が受けとれる

  4. 福利厚生が充実している

  5. 子育てとの両立が制度上は可能 ※企業による

これを踏まえて、自分の今の会社を見返してみた。
フリーランス×パートの選択肢も考えたけど、これなら結局今と稼働・拘束時間は変わらない。
変わらないどころか、むしろ収入が減少する。

今の職場にメンタルで休みがちの人がいる。
しかし、時々出勤してくるので、なかなか辞めさせるところまではいかないらしい。(人事担当者談)

フリーランスになって仮に「書けなくなること」でメンタルになったり、体調不良等で稼働時間が減ったりすると途端に収入減少に直結してしまう。

そう考えると職場でメンタル先輩を見ていると「守られてるなー」と俯瞰的に見てしまう。

「ない」ことではなく「ある」ものに注目する


今の職場は上司の「理解ない発言」があるものの、組織的には「子育てに集中する」ことが可能な環境である。
とにかく業種が幅広い上に異動が多いために、HSPのわたしは異動のたびに新人職員の感覚で慣れない仕事を必死にこなしてきた

いくつになっても慣れない。
自信を持てる業務がない。
深く掘り下げる業務経験がないから得意なことがわからない。

いつもそう嘆きながらこれまでやってきた。

しかし、気がつけば勤めはじめてから間もなく20年を迎えようとしている。
あるとき、この「年数の積み上げ」こそがわたしの実績ではないのか、と気づいた。

これまでストレスで蕁麻疹がでたり、仕事中に過呼吸になりかけながらも、
辞めることなくやってきた。
子育てと仕事の両立に苦戦しながらも、ここまでやってきた。

これがすべてではないか。
今の職場を20年近く勤めてきて、まだ自信がないと言ってた自分がライティング界に飛び込むなんて、よくぞ考えたものだと感心したw

もちろん飛び込みたい気持ちはある。
しかし、すべてを捨てて飛び込むのは性格的に危険すぎると思うのだ。

「風の時代」
「なりたい自分になる」
「自分らしい生き方」

昨今言われるこの言葉に踊らされていた。
思うように働けない現状に不満を持ち、もっと自由に生きている人たちを見て「うらやましい」「ないない」「もっともっと」という焦燥感にかられていたように思う。

子どもがいることで、仕事に制限がかかるようになり「自分の力を発揮できない」ことを会社のせいにしていたのだ。

地に足がつく

会社員を辞めて、フリーランスになることで「自分らしく生きれる」のか?
わたしの場合、答えは「NO」だった。

文章を書くことは好き。
でもこれを収入の柱としてしまうことは性格的に合わない。(あくまで現段階では)

そもそも文章を書きたいと思った動機は何だった?
それは稼ぐことではない。
わたしの考えや思いを文章で多くの人に読んでほしかったからだ。

そう考えれば、今も少ないながらもフォロワーさんがいて、Xやnoteで投稿をするとみんなの反応がもらえて、それだけで嬉しいと思う自分がいる。

1年前に誰にも読まれなかったブログを書いていたときと比べると、ずいぶん人目に触れることが増えた。
すでに望んでいた環境は少しずつ整ってきているのではないか。

そこを「ないない」「もっともっと」欲が出て、途中から目的が変わっていた気がする。
それは仕事を辞めようと思っていたから。

書くことで稼げるようにならねばならない、と思っていた。

チャレンジすることはとても素敵なこと。

白黒思考のクセが出てしまい、やりたいことをするためには今やってることは辞めないといけないと思っていた。
不器用な性格のためにどちらもやることは無理だと思っていた。

でも実はそれは逆で、どちらもあるからこそ、わたしはバランスが取れるタイプなのかもしれない。

仕事を辞める必要はない。
仕事はライスワークとして必要。
好きなことにチャレンジするには、このセーフティネットがとても重要だと思う。

ますます忙しくなるというのは自分の幻想であって「忙しい」と思うかどうかは自分次第であることにも気づいた。

仕事も子育ても好きなこともすべて両立させて、自分らしく生き生きとすることこそが、他の誰とも違う「自分の強み」になるのかもしれない。

育休から復帰してから、仕事に対するモチベーションや自分らしい生き方について悶々としてきた心の霧がようやく晴れた気がした。

わたしはわたしらしく、自分の決めた道を進んでいくんだ。

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