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寂しく優しい紀行文『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭
オードリー若林さんの紡ぐ文章が好きだ。
こちらは過去に投稿した『社会人大学人見知り学部 卒業見込』に関する記事。
今回は、最近読んだ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』について記す。
売れっ子タレントだけあって多忙な若林さんだが、5日間の休みを利用してキューバへ旅立つ。
若林さんは、現実主義者という印象が強い。
普段はリアリストの視点から鋭いツッコミを入れる若林さんだが、今回は叙情的な描写がそこかしこに見られた。
深く愛した人とのつながりは、例え愛した相手が亡くなったとしても、その人の中にずっとあり続ける。
若林さんが、かけがえいのない自分を愛してくれた家族に語りかける場面にほろり。
社会主義の国、キューバの珍道中を諧謔的かつ、寂寞感を含む筆致で綴った一冊。
慌ただしい日々から、束の間抜け出して、異文化に触れられる紀行文。
この人の記す文は、どこか寂しくて優しい。
つげ義春の旅日記を読んでるときのような、浮遊感がある。
野良犬は、その土地の人達の無意識が投影されている。
キューバの犬は、どんな顔で笑いどんな顔で泣くのだろう。