ポジティブ原理主義「ポリアンナ症候群」と自己啓発本の罠
ポリアンナ症候群という言葉がある。
意味は
十数年前、僕はポリアンナ症候群に陥っていた。
「ネガティブは悪でポジティブは善」という極端な白黒思考になっており、ネガティブを忌み嫌っていた。
他者の中に自分の抱える問題との重なりを見つけ、自身の問題を発見するケースが少なくない。
ある後輩の男性が自己啓発本を読み漁り、本に書かれていた請け売りのような内容を僕によく話してくれていた。
彼を見ていて、大きな違和感があった。
自己啓発本の内容を表層だけ捉えて、彼の人生は何も変わらないまま。
まあ往々にして自己啓発本というのは、そういうものなのだろうが、「あれ? 彼はぜんぜん現実を見れてないぞ」と思った。
人間の心のメカニズムを解明する上で、防衛機制がよく用いられる。
防衛機制の逃避は、「自身の存在を不快な現実から心理的にも物理的にも遠ざけ、現実から目をそらすことで精神の安定を得ようとする心の働き」という意味。
ポリアンネ症候群は、防衛機制でいう逃避だろう。
僕のnoteを読んでくださっている方なら、ご存知だろうが、僕が投稿している内容は決して明るいものではないし、しばしば負の面にもフォーカスして書いている。
これは「自分のネガティブな面に目を向けることで自己理解を深め自己受容したい」という意図からなのだが、ポリアンネ症候群になると自分の弱みを直視できなくなるので、自己受容が困難となる。
行動変容のためには、自己受容が必須だ。
自己啓発本は中毒性が強く、ハマるのはわかるし僕も結構な期間、ハマっていた時期がある。
しかし、自己啓発本を読んで自分が変わったという錯覚に陥っている状態が続くのは危険だ。
十代のときに読んだ寺山修司氏の本で『書を捨てよ、町に出よう』というタイトルのものがあったが、これはアンチ自己啓発本というスタイルをとる、異色の自己啓発本かもしれない。
さすがは『家出のすすめ』の著者だ。
インプットとアウトプットは同じくらい大事だし、自身のネガティブ面に目を向け受容することは、未来に希望を見出すのと同じくらい重要である。
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