我々に残された最後の武器は「信頼」だけかもしれない
伊坂幸太郎さんの小説が好きで、よく読んでいました。
『ゴールデンスランバー』も伊坂作品なのですが、
『ゴールデンスランバー』が映画化された際、劇場へ見に行きました。
「伊坂作品は、予知的である」とよく言われます。小説で書かれた数年後に、現実で類似する事件がよく起こるからです。
物語は、首相の暗殺から始まります。
堺雅人さん演じる宅配ドライバーの青柳は、師匠暗殺犯に仕立てられ、逃亡劇がスタート。
作品の中で、こんなやりとりがあります。
『ゴールデンスランバー』の中で、青柳は色々な先輩、知人などに助けを求めます。
普段から青柳のことをよく知る人達は、突然、犯罪者とされてしまった彼のことを信頼して助けます。
「どうせ、お前じゃないんだろ!」
渋川清彦さん演じる岩崎は、青柳の元同僚。
世間から「世紀の大犯罪者」とレッテルを貼られて逃亡中の青柳と顔を合わせた岩崎は、笑顔でこう言います。
「どうせお前じゃないんだろ?」と。
『ゴールデンスランバー』のストーリーについては、下記のサイトがわかりやすかったので、興味を持たれた方はご覧くださいませ。
罪をかぶされた僕に家族は告げた
中学校の頃、こんなことがありました。
すごい邪悪なクラスメートがいて、彼のことを信頼した結果、クラスで起きたある事件の罪をかぶされ、みんなから糾弾されたことがありました。
手のひら返しをする人も多く、ある日を境に僕への風当たりも強くなりました。
辛くて辛くてしかたなかったので、家でそのことを母と兄に話したんです。
すると母は「あんたがそんなことするわけないやないの」と微笑みました。
思春期に入り、グレにグレていた兄はちょっと斜を向きながら「お前はそんなんする奴やない」と一言。
その瞬間「ああ、この人達の家族でよかった」と心から思いました。
ちなみに兄はその後、興奮し「お前をハメた奴を俺がしばきに行く!」と言うので、それは必死に止めました(笑)
人を信頼するというのは、生半可なことじゃありません。
勇気がいるし、傷付く覚悟が必要です。
現在、混迷を極める日本。生きづらくない人の方が少数でしょう。
客観的に見れば、日本は沈みゆく船でしかないのかもしれません。
しかし、日本で暮らす我々に残された最後の武器は、やはり大切な人を信頼することなのです。