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『ジョー・ブラックをよろしく』が語る愛とは

先日、アンソニー・ホプキンスが29年ぶりにアカデミー主演男優賞を受賞しました。この受賞へのお祝いの気持ちを込めて、彼が出演している映画の中で、私が大好きな『ジョー・ブラックをよろしく』をご紹介したいと思います。

『ジョー・ブラックをよろしく』(原題: MEET JOE BLACK)は1998年公開のアメリカ映画です。アンソニー・ホプキンスが演じるのは、まもなく65歳の誕生日を迎える大富豪のビル・パリッシュ。 今までどんな人生を歩んできたか、そのすべてを物語るかのようなビルの佇まいに、思わず息を呑む瞬間があります。

ビルの前に、ある日死神ジョー・ブラックが現れます。ジョーは、人間界のガイドをするようビルに依頼し、そこから二人の物語は始まります。

この映画の最大のテーマは、愛。ビルが娘のスーザンへ、情熱的に愛について語るシーンが印象的です。愛とは何か。それを理解するのはとてつもなく難しいですが、ビルの言葉でその輪郭が少しずつ見えてきます。

「Love is passion, obsession, someone you can't live without. 」(愛とは情熱。"相手なしでは生きられない"という想い)

愛について語る間、ビルは時折悲しそうな目をします。亡くなった最愛の奥さんとの記憶を思い出して、胸が痛むのでしょうか。

「Lightning could strike. 」(稲妻に打たれるのを待とう)

愛とは、頭で理解するものではなく、ハートで感じるもの。そして、時にそれは胸を焦がすほどに激しく鋭いものだと、台詞のリズムからも伝わってきます。

愛のかたちは様々です。恋愛、家族愛、慈しみ。そして友情や優しさ、感謝の気持ちも、愛の一部ではないでしょうか。

そう感じさせるのはクインスの存在。クインスは、ビルの長女アリソンの夫で、ちょっととぼけた雰囲気が魅力的です。その場の空気を自然と和ませてくれる、人と人をつなぐ人。彼は後に、愛の奥深さと、その先にあるものが何かを教えてくれます。

それから、途中に出てくる病院のおばあちゃんとジョーのシーンもかなり印象深いです。元の世界に帰りたがらないジョーに、おばあちゃんが言った例え話が秀逸。

「あなたは幸運だわ。南洋の島へ休暇に来て、真っ赤にならずに小麦色に肌を焼き…眠ってて蚊にも刺されない。でもこれ以上滞在すると先は分からないわよ」

観光気分で人間界を楽しむジョーに、人間の苦しみ、そして死について教えてくれます。このおばあちゃんとの会話で、ジョーは何を感じたのでしょうか。

また、この映画で私が特に好きなのが音楽です。「これが愛だよ」と耳元で誰かが優しく教えてくれるような、静かで柔らかいピアノの音。そして少しの憂い。「この世に永遠はないんだ」とささやいているようにも聞こえます。

最後に、ビルのこの言葉を。

「It’s hard to let go, isn’t it?(中略)Well, that’s life.」(去りがたい。それが生きるということだ)

去りがたいのは、それだけ愛する存在があるということです。そしていつか来る別れの時があるからこそ、愛を伝える意味がある。そう感じました。

物語がどう展開していくのか気になる方は、ご自身の目で実際に見ていただきたいなと思います。そして愛とは何かを、是非ハートで、じっくり感じてみてください。

あなたのすぐ近くにも、愛があるかもしれませんよ♪


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