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中途採用における再現性のある母集団形成のコツを公開します。
こんにちは。かさいです。以前、採用市場はこれからもっと激化するという記事を書きました。
ここでも書きましたが、現在は、採用手法も検索型求人サイト、ダイレクトリクルーティング、人材紹介会社の多様化など手法が幅広くなっています。特に中途採用はもう何がなんだか分からないくらい増えています。加えて、ユーザーが口コミサイトやSNSで企業の情報を簡単に得られる時代になりました。そして、現在は圧倒的な売手市場(求職者優位)な時代です。
でも安心してください。私がクライアント企業様の採用支援をする中で感じることは、ツールや手法は増えても、採用成功の原理原則は20年前と全く変わっていないということです。
というかさいですがどんな実績があるのか、紹介します。
SaaS HRテック企業のCS募集
Indeedの無料掲載で、総計40名応募、国公立大学出身でインターンにてBtoBのカスタマ―サクセスをしていた即戦力を1名採用。
キャリアコーチング企業でのコーチ募集(副業)
求人ボックスの無料掲載で、人材業界事業の事業部長を1名キャリアコーチとして契約。現在はカリキュラムの改変などにも携わっている。
訪問看護立ち上げ募集の成功
訪問看護ステーション立ち上げにおいて、元大手訪問看護ステーションで働管理者を医療系DRジョブメドレーで1名。看護師をIndeedと縁故施策でか2名採用を成功。新規ステーションの開設ができた。
介護職採用2ヶ月で12名
カイゴジョブ、ジョブメドレー、コメディカルドットコムなどの医療介護系DR、Indeedの広告運用、その他engage、求人ボックスなどの無料求人サイトの運用で、3事業所2ヶ月で12名採用を実現。各事業所は一気に充足。
不動産営業2名の採用
条件面の改善とIndeed、ダイレクトリクルーティングの活用で、20代の営業職を1ヶ月で2名採用。
です。これ以外の採用案件も含めて共通しているのは、とにかく有効応募数の確保を最優先したということです。では、有効応募数をどのようにあげればいいか、このメソッドとノウハウを本noteで共有していきます。
尚、書いている内容は中途採用で一番ボリュームが多いとされるプレイングからマネージャーくらいまでのレイヤーの話です。CxO採用や事業部長クラスのヘッドハンティングや新卒採用のメソッドは別のnoteで書きますので、ご了承ください。
求人アクション数×業種・職種のマッチ度
採用が上手く行かない企業が陥っている症状で一番多いのが、求人を出し切っていないということ。リクナビネクストを掲載すれば、応募が集まったのはもう昔の話。現在は求人媒体も多様化し、求人の考え方(1職種1原稿ではない)も変わりました。また業界や職種にマッチした求人サイトも出てきました。
求人検索エンジン系では、Indeed、求人ボックス、engage、Airワークなどがあります。これらは低コストで多くの求人を掲載することができるので、とりあえず、手を付けたほうがいい媒体です。
Indeed https://jp.indeed.com/
求人ボックス https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/
engage https://en-gage.net/user/#/
Airワーク https://www.recruit.co.jp/service/air/16/index.html
もし、この中でどこから有料化するのがいいか?と言われると、Indeedです。Indeedは圧倒的に検索性とマッチ度が高く、母集団形成力が高いです。加えて、2024年1月30日を皮切りに、IndeedPLUSというサービスがリリースされます。このサービスはを簡単に要約するとIndeedに有料掲載をすれば、リクルート製品に自動でリーチされるので、露出が一気に跳ね上がりますよというサービスです。
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ということでしましょう!
次に検討するのが、成功報酬系の媒体とダイレクトリクルーティング媒体です。成功報酬系は、アルバイトで言えば、マッハバイト(リブセンス)、医療介護系で言えば、ジョブメドレー(メドレー)など。ダイレクトリクルーティングは、ITWEBで言えば、グリーン(アトラエ)、若手層への共感マッチングで言えば、Wantedly(ウォンテッドリー)総合系で言えば、ビズリーチ(ビジョナル)などがあります。ダイレクトリクルーティングサービスの特徴は、業界や職種特化型が多いです。理由はカンタン、スカウト型だからです。ターゲットの絞り込みをしたほうがスカウトの返信率が上がり、求職者、企業の満足度も上がりやすいですし、どんな求職者を集めたらいいのかも明確になるからです。
マッハバイト https://j-sen.jp/
ジョブメドレー https://job-medley.com/etc/
グリーン https://www.green-japan.com/
Wantedly https://www.wantedly.com/companies/wantedly/projects
ビズリーチ https://www.bizreach.jp/job/
カイゴジョブ https://www.kaigojob.com/
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成功報酬型ではないですが、安価で掲載ができる業界・職種特化型の求人も増えています。例えば、Re就活、しゅふJOB、Career Cross、工場求人ナビなどがあります。
Re就活 https://re-katsu.jp/career/
しゅふJOB https://part.shufu-job.jp/
Career Cross https://www.careercross.com/
工場求人ナビ https://www.717450.net/
人材紹介会社も多様化しています。過去はリクルートキャリア、パーソルキャリア、JACリクルートメント、パソナキャリアなどオールラウンドの2極化でした。しかし、今は業界特化型の人材紹介会社もたくさん立ち上がっています。募集している職種はどの領域の人材紹介会社と相性が良いのかを見極めて、依頼をかけていく必要があります。
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例えば、管理系専門のMS-Japan、マスコミ専門のマスメディアン、IT専門のレバテック、Geekly、看護師専門のナース人材バンク、スタートアップ専門のポテンシャライトなど。
MS-Japan https://www.jmsc.co.jp/
マスメディアン https://www.massmedian.co.jp/
レバテック https://levtech.jp/
Geekly https://www.geekly.co.jp/
ナース人材バンク https://www.nursejinzaibank.com/
ポテンシャライト https://www.potentialight.co/
上記以外でも伝えきれない専門媒体がたくさんあります。重要なことは アクション数を減らさないこと。絞りすぎないこと。ターゲットが存在する媒体には掲載をし、エージェントには漏れなく依頼をすることが重要です。
媒体×人材紹介最適化のプロセス
ただ、これは手数を増やせばいいという話ではありません。似たような媒体もたくさんありますし、効果が見込めなそうなツールは時間の無駄です。そんなときは下記のプロセスで検討していきます。至ってシンプルです。
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この一連のプロセスは2ヶ月から3ヵ月くらいで実施します。ポイントは1回目の精査で絞りすぎず、広げて定量化して2回目で絞り込むです。しかもなるべくコストはかけずにです
ここまでは、可能性のある手法はすべて試して、間口を広げましょうという話でまだまだ序の口です。では間口を広げたらどのように求人原稿を作ればいいの?という内容の部分に切り込んでいきます。
応募資格で求めすぎない
応募資格ってどのように決めていますか?よく採用会社から取材でこんな質問を受けることが多いです。
「応募資格を教えてください」
「どんな経験をお持ちの方を採用したいですか」
「求める人物像を教えてください」など
この質問って実はとてもナンセンスなんです。この前知り合いのA子さんに結婚相手の理想像を聞きました。
「年収が〇〇〇〇万円」
「長男ではない」
「大手企業に勤めている」
「背は180センチ以上」などなど
要望が出ていました。そんな人いないよとか、もしそんな男性がいたとしてもあなたに振り向かないよというのがオキマリのセリフですが、実はこれと同じようなことをしているんです。
正しくは、以下の2つです。
「今回のポジションではどんな能力が必要ですか?」
「今回のミッションを達成するために必要な要件は何ですか?」
人は自分を棚に上げて、相手に求める傾向があります。そうすると、求人のハードルが、急激に上がり、応募が来ません。そして採用会社が、そんな人来ないので、下げましょうと言うのですが、下げるというのも違います。
採用の目的に照らして適切なターゲットに設定することが大切です。
ハーズバーグの二要因理論を活用する
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論です。 ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるというのではなくて、「満足」に関わる要因と「不満足」に関わる要因は別のものであるとする。
要因は
・動機付け要因
・衛生要因
に分かれます
動機付け理論
仕事の満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」などを指します。これらが満たされると満足感を覚えるが、欠けていても職務不満足を引き起こすわけではありません。動機付け要因は、マズローの欲求段階説でいうと「自己実現欲求」「自尊欲求」さらに「社会的欲求」の一部に該当する欲求を満たすものとなっています。
衛生要因
仕事の不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」などを指します。これらが不足すると職務不満足を引き起こします。満たしたからといっても満足感につながるわけではない。単に不満足を予防する意味しか持ちません。衛生要因は、マズローの欲求段階説でいうと、「生理的欲求」「安全・安定欲求」と「社会的欲求」の一部の欲求を満たすものとなっています。
求人原稿を作るときは、この動機付け要因と衛生要因のバランスがとれているか、ターゲットに正しく情報を伝えられているかを客観的に見返しましょう。
ユーザーへ情報発信は衛生要因を正しく伝えるところから
では、ハーズバーグの二要因性理論をどう活用するかです。まず求人を見ている人のインサイトを考えてみましょう。これだけ多くの企業が求人をしている中で、基本的には内容を疑っています。信じていません。そりゃそうなんです。辞めようとしている現職も入社するときは、〇〇ができる。こんな魅力的な〇〇があると期待をして入ったのですが、何かしらのボタンの掛け違いで辞めることになっているわけです。しかも求人に悪いことを書く企業なんているわけがありませんし、基本的にはみんなリップサービス気味です。
待遇条件で求人を選ぶ応募者なんていらないはナンセンス
ここまで衛生要因を定量的に記載することがまず大事と書きました。そうすると、決まってこんなことをおっしゃる経営者がいます。「仕事は条件だけではない。やりがいや充実感が大事。条件だけで応募にくる人はいらない」と。本当にそうでしょうか。企業側にも書類選考があるはずです。そこでは、学歴、資格、住所、転職回数、履歴書に記載されている希望条件などを見て、面接をするかどうかを判断しています。その人の性格、考え方、やる気などを見る前に、応募者を条件で判断しています。
もちろん、求職者のデジタルな情報を見れば、その方の戦闘力はある程度察しはつきそうですが、ここではそういった話ではなく、お互いがまず衛生要因で第一印象を決めているということを伝えておきます。ですので、企業が衛生要因で企業の第一印象を選ぶのはダメと烙印を押すのではなく、むしろ逆手に取り、一気に第一印象を上げていきましょう。
衛生要因を定量的に伝える
では、衛生要因をどのように伝えていけばいいのでしょうか。ただ伝えるだけでは、有用性は上がりません。求職者は誰が見ても客観的な情報で見極めて、まずその企業を信頼します。解像度を上げて定量的にする必要があります。
例えば、定性と定量に分けるとこのような違いがあます
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求人を見ている求職者がより自分事化して具体的なイメージを持てる情報を伝えることが重要です。借りてきたような言葉はいりません。この具体的な情報が多ければ、多いほどユーザーはその企業を信頼してくれて、応募意欲が上がります。
動機付け要因をうまく活用する
ただ、衛生要因だけでは、採用成功はしません。いまどの企業も脱ブラックやコンプライアンス遵守を徹底する中で、待遇条件(衛生要因)の整備が急速に進んでいます。その上で、差別になるのが、動機付け要因です。いうなれば、衛生要因の充実は人材を採用する上で、最低限になってきているとも言えます。
動機付け要因をうまく求人に反映する場合は、下記をおさえてもらえるといいかと思います。
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ちなみに、動機付け要因でも情報の解像度を上げて定量的に伝えることは非常に重要です。
終盤までやってきました。ここからは動機付け要因と衛生要因における具体的注意点を記載します。
採用のミッションとポジションを明確にする(動機付け要因)
前段で、採用の目的に応じて適切なターゲットを設定すると書きました。採用の目的とは、採用を通じて成し遂げたいこと=入社される方のミッションです。ここが曖昧だと、求人を見ている読み手は、応募資格に書いている内容に腹落ちしません。腹落ちしなければ、応募ボタンを押しません。あえてもう1つ加えるとしたら、ポジションも明確に記載します。明確であればあるほど良いです。例えば、経営幹部と書くよりも、CxOと書いたほうが、応募者に明確に伝わります。
ミッションやポジションなどの話をしたときに、「ミッションは自分で考えるもんだ」とか「ポジション目当てで来る応募者なんかいらない」とおっしゃる方も一定数います。もちろん、そうなんですが、前提が違っています。まだお互い知らない状況で、求人情報だけで相手にすべてを分かってもらおうなんて、考えが甘すぎます。
ミッションは選考の中で、ある程度会社が抱える課題などを共有した上で、アウトプットしてもらえばいいし、ポジションも会社の成長戦略を伝えた上で、CxOとして何ができるかをアウトプットしてもらえばいいのです。これらを選考で行うことで応募者の能力値も分かりますし、ミスマッチも減ります。
待遇条件を工夫する(衛生要因)
次は待遇です。もちろん提示する給与は低ければ低いほどいいです。気持ちは痛いほど分かります。ですが、ケチるのはやめましょう。求人内容で待遇条件をケチるとそもそも応募が集まりません。すべてが無駄になります。であれば、ケチらない待遇条件を提示して、応募数を集めて、そこからじっくり選考をすればいい。妥当な金額は職種やエリアで変わります。ただ、中小企業にやってもらいたいのは、最低でも大手企業の待遇に合わせるか、それ以上の提示をすることです。そもそもブランドで負けているのに、待遇までケチったら来てくれません。
もし給与が出せないのであれば、働き方でメリット提示をします。例えば、
・フルリモートOKにする
・インセンティブの歩合を高くする
・勤務時間をフレックスにする
・有給を半年後ではなく、入社後する使えるようにする
・7時間勤務正社員雇用を実施する
などなど。
待遇の設定もすべてはミッションを遂行してくれるターゲットに沿って設定するのが大前提ではありますが、工夫に工夫を重ねる必要があります。
会社の課題はあえて出す
これは奥の手ですが、スペックが高い人材やミッションが大きい人材の採用の際に、使う手です。例えば、スペックの高い方は、自分の希望する条件に加えて、「自分がその会社に入って何ができるか(貢献)やどんな経験や体験をできるか」を考えます。逆に言えば、いくら条件が良くでもその会社でのミッションがなければ、「自分は必要ないですよね?」と感じます。むしろ、課題が多く、自分が必要とされていると感じないと動きません。そういった意味では、会社の課題はあえて出すというスタンスもひつようになってきます。もちろん、こういった件は現状の社員も求人を見ている可能性があるので、求人には書かず、エージェントから直接伝えてもらうやりかたもあります。
謝辞
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。再現性のある母集団形成のコツについて書いてきました。とはいえ、この内容を全て社内で完結して行い仮説検証と媒体の最適化を行うのは、相当な時間とリソースが必要になります。しかも、これはまだ母集団形成の部分だけであり、選考全体ではこの後の面接担当の役割分担や面接力向上、内定を勝ち取るための施策など様々なステップがあります。本来はそこまで踏み込みほうが良いんですが、そもそも母集団形成ができなければ、選考施策はできません。もし母集団形成にお困りであれば、下記リンクからかさいまでご相談ください。どんな些細なことでも構いません。
また、読み応えあったなと感じていただけましたら、スキをぜひおねがいします!X/Twitter(@hiroshikasa)でもいろいろとつぶやいていますので、フォローをいただけますと嬉しいです!