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読んだ本(2024年10月中旬)

10月中旬の読了本。
長期に借りていたものをようやく読み終わり、その後積読消化と思っていたが芥川賞の「バリ山行」が借りられたので「カレイドスコープの箱庭」は下旬に持ち越し。


農協のフィクサー / 千本木啓文

障がいをバネに差別と戦った若き時期、宿敵・野中広務を倒し、巨大利権を手中にして組合員ににらみをきかせる-。日本の最後の聖域「農協」を裏支配する男・中川泰宏の実像に迫る。

長期に借りようと6冊借りたうちの最後。結局ネットから1回(1週間)延長してそれでも足りないので図書館に行って再延長(再貸出)してきた。さすがに23日で8冊(長期のつもりで借りた6冊+予約がこのタイミングでまわってきた「成瀬は天下を取りにいく」と「電通マンぼろぼろ日記」)は無理だった。
タイトル見ると全国の農協を牛耳っている人物の話のように感じられるが、JA京都の会長をしていて過去に衆議院議員もつとめた中川泰宏氏について語る本。いろいろある人のようだがパワフルな人はプラスもマイナスもパワフルなのだなと思わされる。特に野中氏との闘いは読みごたえがあった。
ひとつ残念なのは「質問をしたが期日までに回答は無かった。」という雑誌が良く使う書き方がところどころに見られたところ。書籍で出すんだからそんな紋切り型で終わらせずに裏とるなりなんなり綺麗にまとめろよと思わせられる。特に本書は氏の裏側の黒い部分を暴きだそうというのが主旨なので裏取りは重要だろう。

ケルベロスの肖像 / 海堂尊

高階病院長のもとに、「八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する」と書かれた脅迫状が届いた。愚痴外来の田口医師&厚生労働省の変人役人・白鳥は、病院を守ることができるのか?

積読消化。予約本が来るまでの間にバチスタシリーズ終わらすつもりで読み始める。
東城大と桜宮病院の因縁に決着をつける話。シリーズ的にはうまくまとめたと思うが、単体では話が派手過ぎて西部警察的(50代以上しかわからない表現?)になってしまっている。単体の面白さはまあまあと言ったところ。

バリ山行 / 松永K三蔵

会社の付き合いを避けてきたが、登山部で親睦を図る気楽な活動をするようになった波多。職場で孤立するベテラン妻鹿が、あえてルートから外れる危険で難易度の高い「バリ山行」をしていると知り…。

今年上期の芥川賞作品。図書館に返ってきていたのでゲット。
芥川賞の記事を見た時はパリ(Paris)で登山するのかと思い、「バリ」だと気づいた時にはインドネシアで登山するのかと思い、紹介記事を読んでみてやっとバリエーション(バリルートなどと呼ばれるもの)の事だと気づいた。
最近は登っていないが自分が山を歩いていた時は、マイナーな道を歩いたり迷子になりかけて仕方なくということはあっても自分から道なき道へつっこんでいくということはしてなかったし今後もしないだろう。という自己紹介はどうでも良いのだが、自分も基本的にはソロで歩いていたので妻鹿の気持ちはわからないではないというのはある。
芥川賞的な文学面のところは波多の妻鹿に対する気持ちや追いかけるようにバリエーションルートで登り始めるところの思いに集約されていて、(個人的な趣味ではあるが)残りの山の情景などは純粋な山小説的に読めた。

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