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映画感想文

先日、私のGoogle Discoverがこの記事をお勧めしてくれました。

簡単に言うとこの作品の主演の一人であるマーゴット・ロビーが「バビロンという映画が大好きで、この映画が成功できなかったことが信じられない」といった感じの記事です。

私も全くの、完全に、パーフェクトに同意です。
うなずきすぎて首がもげそう。(これって死語かしら)
とんでもないものを見た!と感動して劇場を出たことを今でも覚えています。
だから一人でも多くの人にこの映画の良さを知ってほしいということで今回書きます。
よろしくどうぞ。


バビロン(2022)189分 R15+
原題 Babylon
監督 デイミアン・チャゼル
脚本 デイミアン・チャゼル
出演 マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ブラッド・ピット他
日本公開 23/02/10

1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。 サイレント映画の大スター、ジャックは毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。 会場では大スターを夢見る新人女優ネリーと、映画製作を夢見る青年マニーが運命的な出会いを果たし、心を通わせる。 特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていくネリー、そしてマニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。 しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。 果たして3人の夢が迎える結末は…?


アカデミー賞は作品賞や監督賞などのいわゆる主要賞にはひっかからず、美術賞、作曲賞、衣装デザイン賞のノミネートのみ。
インターネットムービーデータベース(IMDb)によると推定予算は1億1千万ドルで総興行収入成績は6500万ドル、単純計算で4500万ドル、日本円だと67億円の赤字。
これにCM等のマーケティング費用もかかるので実際はもっと大きな赤字額のはずで興行的に大失敗と言わざるを得ず、批評家からのスコアも61点、観客からのスコアも7.1/10と奮いませんでした。

それでもなお、私はこの映画を愛さずにはいられないんです。

まずなによりも絵作りがもう派手派手で、序盤のパーティの場面では沢山の人々が踊り狂い、クスリをキメ、ファックして、象が暴れるというはちゃめちゃなシーンを見ただけでもうおつりが出ます。
その他にも1920年代当時のハリウッドがどんな雰囲気で映画を撮っていたかのシーンもケレン味たっぷりで凄く良いし(本当にあんな感じかどうかは知らないけれど)画面映えするシーンが山ほどあります。

そして音楽も素晴らしいです。
劇中作曲を担当したジャスティン・ハーウィッツは同じ監督作品のラ・ラ・ランドやセッションの作曲も行っており、もう間違いない方ですよね。
通常は撮影と作曲は同時並行ないし、撮影が終わったあとにシーンに合わせて作曲が行われることが多いそうですが、この作品では脚本を書き始めるとともに音楽も作られます。
その結果ストーリーボードの段階で音楽と合うようにショットを決められるので役者と音楽とが有機的なつながっているなって感じられるんですよね。

それから何よりストーリーがとても切ない。
ハリウッドが栄華を極めた1920年代から時を経て、世界恐慌がアメリカ全土を覆い質素倹約・品行方正な俳優が求められるようになり、それまでのハリウッドスターたる豪奢な生活をしている者にはバッシングが浴びせられ、無声映画から有声映画に変わったことで求められるものが変化して凋落してしまう。
本人たちは何も変わっていないのに時代の趨勢で退場しなければいけない。
この映画に登場する人たちは実在の人物がモデルになっていて、似たような顛末を実際にたどった人がいたというのがすごく味わい深い。
もっというと登場人物たちも変化しなければいけないということを気付いています。
それでも映画業界に生きた人たちのそれぞれの生きざまを悲哀とユーモラスを存分に併存させて描いていて本当に愛を持って脚本書いてくれたなって感じました。
また資金を得るために、売れる映画を作るために信念を曲げなければいけないとか今の視点だと許されないような行為を強いられるとかマフィアと関係があったとかいった当時の映画製作の後ろ暗い部分も描いています。
こういうことは現在にも繋がっている話なんだろう、というのもうっすら思いますがこういったネガティブな面も恐れず描いているのを評価してあげてほしいです。
そして登場人物たちがここまでしてでもこの業界に何故居続けるようとするかというと、映画というものが信じられないほどの奇跡であるということを見てしまったからなんですよね。
後ろ暗さを描くからこそ映画業界の光が際立つというね。
さらに映画製作そのもの素晴らしさだけでなく、市井の人々が容易に触れることが出来る芸術であるという点にも言及していて、映画の素晴らしさを189分の中で幾度となく感じさせてくれる良い映画ですよ、バビロンは。

音楽としても画面としても絶対に劇場で見るべき映画の1つなんですけどあれだけ大爆死すると再上映は難しいか……
上映時間も長いしね……
ラストも勢いで突っ走ってて最高なんですけどね。
もう一回大きなスクリーンで見てぇなあ……
それでもネトフリで観られる(24/12/07時点)みたいなのでよろしく。

長々とえらいすんまへん。
語彙力がないものでただただ長いだけの駄文になってしまいました。
熱だけ伝われば嬉しいです。
お読みいただき本当にありがとう。
それではまた。

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