レビュー『新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』
コロナで自宅学習の需要が高まったためか、「独学」本がわんやわんやと出版されています。
そんな「独学」本にウンザリし、書店で見かけるたびに反射的に拒否反応を示すのは僕だけではないはず。
しかし、知の怪物・佐藤優さんが推薦しているのであれば話は別です。
本書の表紙を見ていただいたのですが、一瞬、佐藤優さんの本かと思うぐらい、佐藤優さんの顔写真が目を引きます。
そして、その推薦につられて購入。
基礎学力を上げるために大学受験の参考書を活用するという点では、佐藤優さんの名著『読書の技法』に共通していますが、本書はよりビジネスの現場に即しており、ビジネスの現場で優れたパフォーマンスをあげるための知識力・論理力・英語力について、いかに効率的に学ぶかが書かれた本です。
効率的な方法とは、大学受験の参考書だけではなく、問題集も併せて使用すること。
著者は、仕事上で必要とされる「賢さ」を、「知識量と論理力の組み合わせ」と考えています。
知識の面で重要と考えているのが「政治・経済」と「倫理」。
「政治・経済」は社会の仕組みを知るのに有用ですし、「倫理」は過去の偉人の考えを学ぶことができます。
「倫理」のなかでも、ビジネスパーソンにとって必須の知識は「経済思想」「心理学」「宗教」の三つの分野で、それぞれが「人」と「社会」を知るのに役立ち、ビジネスマインドを育むことが可能。
どうやって学ぶかといえば、問題集に答えを書き、参考書を一気に読み、空き時間にスタディサプリを聞くという学習法をすすめています。
問題集を使う理由は、覚えるべき重要なことの80%は、参考書全体の20%に含まれており、この20%は問題集での問いの部分にあたるから。
具体的な学習方法をあげると、政治・経済を学ぶときには、問題集である『政治・経済 標準問題精講』を使い、「解く」のではなく、1回目は解答をみて解答欄に赤字で答えを書き、2回目は、重要な箇所をノートにまとめ、3回目は赤のチェックシートをかぶせて、問題を解いていきます。
次に、参考書の『理解しやすい政治・経済』を3回ほど読み込みます。
この本は、大学教授が執筆しており、解説がしっかりしている参考書。
そして、手が空いていないときや疲れているときには、スタディサプリを利用して耳で学習します。
知識のあとには、論理力を鍛えるための現代文と小論文、そして、英語力を鍛えるための方法へと進んでいくのですが、それぞれについて、丁寧にオススメの本が挙げられているので、すぐに学習を始めることが可能です。
著者の侍留啓介(しとみ・けいすけ)さんは岡山県生まれ。
早稲田大学卒業後、三菱商事にて金融投資業務を担当。
その後、シカゴ大学経営大学院にてMBAを取得。
帰国後はマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融・消費財・製造業など幅広い業界において経営コンサルティング業務に従事。
そんな著者が、ビジネスマンの基礎力を上げる独学について語ったのが本書。
問題集を活用することはいままでできていなかったので、早速取り入れようと思いました。
社会人1年目の人はもちろん、すでに中堅のポジションにある人にも、知識力・論理力・英語力のスキルアップに役立ちます。