『デザイナーが未来に残したい私の3ヵ条』レビュー
個人的に気になっているデザイナーが永井一正さんと、浅葉克己さん。
永井一正さんのLIFEシリーズが大好きです。
そして浅葉克己さんのことは、『浅葉克己デザイン日記 2002-2014』という本で知りました。
文字デザインに造形が深く、トンパ文字をとりあげた『生きる力をくださいトンパ。』も楽しく読みました。
そんなお二人が登場しているのが、『デザイナーが未来に残したい私の3ヵ条』。
第一線で活躍する14人のデザイナーに、仕事をする上で大事にしている「ルール」や「思い」を聞くインタビュー本となっています。
アマゾンではレビューもついていない本で、誰もしらない良本を見つけたような、お得感を感じます。
今回の記事では、本書を読んで学んだことをまとめます。
自分の好きを貫け
浅葉さんは「若い人は、自分の武器になるもをひとつ持て」と言います。
たとえばアートディレクションの領域であれば、写真やイラスト、タイポグラフィなど。
手広さも大切ではあるのですが、自分の好きなもの、得意なものを極めるという視点が重要です。
とくに、好きなものを数珠つなぎにどんどんと探ることで、ヒントになりそうなもの、武器になりそうなことが見つかるそう。
日本人が持つ感性
永井さんが語っていることで印象的だったのが、「日本人が持つ感性を大切に」すること。
そのひとつが、自然に対する畏怖や信仰心(アニミズム)。
四季に影響をうけた細やかな感性を、自分のなかで解体し再構築することが、現代のデザインに必要なのでは、と語っています。
ぼくたちのなかに「すでにあるもの」を活かし、「変わらないもの」に着目していることが新鮮でした。
永井さんは、体の具合がわるくなってからも、近くの植物園にいき、「自然を感じる」時間を持っていたそうです。
体をうごかすこと
浅葉さんは「運動はしておいたほうがいい」と語ります。
その理由は、体を動かさないとわからないこともあり、身体性が問われる仕事もあるからということ。
そして、仕事は卓球みたいなもので、打ち返すスピードも大切。
そういった仕事の運動神経を鍛える面でも、一生できるスポーツを探しておくのをオススメされていました。
永井さんも、身体性の重要性について語っています。
情報があふれる時代に、情報に左右されないように頭を空っぽにするためには、「自分の身体性に委ねる」ことが重要なのだそう。
おまけ
巻末にはそれぞれのデザイナーが、人生に大きな影響を受けた本が紹介されています。
浅葉克己さんは、ロラン・バルトの『表徴の帝国』を挙げており、早速購入しました。
永井さんはアンドレイ・タルコフスキーの映画を挙げていました。
『惑星ソラリス』はまだ観たことがないので、早速みてみたいと思います。