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億万長者たちの素顔:「デジタル生存競争」

テクノロジーの進化とともに、ぼくたちの生活は劇的に変化しています。

スマートフォンがなかった時代を思い出せますか?

たった15年ほど前のことなのに、もう遠い昔のように感じますよね。

スマートフォンやSNSが当たり前になった今、デジタル技術は確実にぼくたちの生活を豊かにしてくれています。

でも、その影で何が起きているのか、考えたことはありますか?

今回ぼくが読んだ『デジタル生存競争』は、そんな疑問に一石を投じる衝撃的な一冊。

この記事では、本書から学んだ3つの視点をご紹介します。

資本主義の闇に潜む危険なパターン

デジタル資本主義は、確かにぼくたちの生活を便利にしました。

オンラインショッピングやSNS、動画配信サービスなど、かつては想像もできなかったサービスが日常的なものとなっています。

でも同時に、地球環境や貧困層、そして文明そのものに深刻な影響を与えています。

データセンターの電力消費による環境負荷、デジタルデバイド(ITの恩恵を受けることができる人とできない人の間に生じる格差)の拡大、そしてAIによる雇用の不安定化など。

その課題は複雑に絡み合っています。

1990年代初頭、デジタル時代の幕開けは希望に満ちていました。

人々の自由なコミュニケーションと創造性を解放する革命的なツールとして歓迎されたインターネット。

著者がこの時期を「デジタル・ルネサンス」と呼ぶほどです。

しかし、その輝きは消えてしまいました。

当初の理想主義的なビジョンは、商業主義の前にしだいに色あせていったのです。

そして、急速な商業化の波の中で、IT巨大企業がプラットフォーム技術を独占するようになります。

彼らは莫大な利益を追求する中で、ユーザーのプライバシーを軽視し、アルゴリズムによる行動操作を強めていきました。

これらは、本来期待されていた自由なコミュニケーションと、創造性の解放とは真逆の支配と操作。

結果、テクノロジーは資本主義と結びつき、制御不能な暴走を始めます。

ぼくたちは今、デジタル技術がもたらす光と影の両面に向き合い、新たな社会のあり方を模索する転換点に立っています。

なぜシリコンバレーの天才たちは宇宙に逃げ出そうとするのか?

著者のダグラス・ラシュコフさんは、テクノロジーの専門家として知られる人物です。

決してテクノロジーを否定する立場ではありません。

でも、イーロン・マスクやピーター・ティールといった現代のテック界のスーパースターたちの考え方に、大きな警鐘を鳴らしています。

彼らが目指す自由至上主義的な未来は、本当に正しい方向なのでしょうか?

驚くべきことに、多くのIT長者たちは現実から目を背けているとラシュコフさんは指摘します。

イーロン・マスクが自然災害や人工知能の脅威から逃れるために火星移住を真剣に考えているように、彼らの多くは現実逃避的な思考に陥っているというのです。

世界で深刻化する経済格差や新たな貧困の問題。

でも、彼らの視界にはそれらが入っていません。

むしろ、VRゴーグルに象徴されるように、現実世界から目を背けるような製品を生み出しています。

金融界のリーダーたちも、こうしたIT長者たちと同じ方向を向いています。

そして、「すべてのものはデジタルな記号として表現できる」という考え方が、暗号資産を生み出す原動力となりました。

超富裕層の本音とその怖れ

何百億ドルという途方もない資産を持つ大富豪たち。

本書では、著者の実体験を通して、彼らの内面に迫っています。

現代の知識社会では、才能に恵まれた一部の人々だけがデジタル世界という「新大陸」を支配し、それ以外の人々は搾取される立場に追いやられています。

超富裕層は独自のコミュニティを形成し、一般大衆をその外に締め出そうとしています。

彼らがもっとも気にしているのは、意外にも2つの問題です。

1つは「戦争などの問題で、社会秩序が崩壊したときに、自分たちを守る警備員たちの忠誠心をどう保つか」という問題。

もう1つは「困窮した人々(とくに赤子を抱えた女性)の援助要請にどう対応せずにすませるか」という問題。

つまり、彼らは倫理的な判断を避けようとしているのです。

これは、まさに現実からの逃避と言えるでしょう。

驚くべきことに、一見すべてを手に入れたように見える億万長者たちが、じつは本当の意味で何も手に入れていないことが分かります。

むしろ、深い虚しさを抱えているのです。

富裕層が自身の警備組織さえも信用できないという事実は、彼らの孤立を物語っています。

まとめ

じつは、解決策は意外にシンプルかもしれません。

それは、富の再分配を通じて、争いのない社会を実現すること。

しかし、現代の資本主義社会では、依然として競争が続いているのです。

デジタル生存競争』を読んで、ぼくは深く考えさせられました。

テクノロジーの進歩はすばらしいものですが、それが本当に人類を幸せにする方向に向かっているのか、立ち止まって考える必要がありそうです。

あなたはどう思いますか?

デジタル社会の未来について、一緒に考えてみませんか。


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