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レビュー『スパイダーマン:スパイダーバース』
アニメ長編映画『スパイダーマン:スパイダーバース』が、2019年のアカデミー賞で長編アニメ賞を受賞しました。
今作の上映時、実写のアベンジャーズやスパイダーマンがすでに人気だったので、その人気に便乗して作られた作品かと思っていたのですが、良い意味で期待を裏切られることに。
本作の魅力はズバリ「巧みなストーリー」です。
未熟なスパイダーマンがヒーローに成長していく点では実写版と変わりありませんが、並行世界からの複数の個性的なキャラクターたちの登場や、NYの街をスパイダーウェブで立体的に移動するスパイダーマンならではの動きの格好よさを追求したアクション、そして、随所に散りばめられたコメディの要素が、全体をとおして統制されています。
作品としての緩急が、観ているものを飽きさせません。
そして驚くべきが、一つ一つのシーンを、最大限効果的に見せる様々な技術面での工夫。
主人公マイルスと、メンター役のピーターが、森の中で敵から逃げるシーンでは、スパイダーウェブの使い方に慣れているピーターは1コマ打ち(通常、1秒を24コマに分け、その24コマすべてに別の絵を割り当てることを1コマ打ちといいます。)で、スムーズに見せ、慣れないマイルズは2コマ打ち(2コマにつき1つの絵を使うので、1秒の間に12枚の別の絵を使用しています。)でぎこちなさを表現していたり、同じカット内でキャラによってコマ打ちの回数を変えることによって表現しています。
初期のアニメーションで使用されていた残像を描くことや、コミックのミスプリントを表現していたり、イラストレーション動画を入れるなど、アニメやコミックブック、イラスト技術のごった煮という様相でした。
これだけバラバラな要素を取り入れると、ちぐはぐなものになると予想されますが、今作ではむしろそれぞれの技術表現が味になっており、統一感を感じます。
この統一感は、現代社会にインターネットが広がり、世界中のマンガ・アニメ・イラストに触れるようになった現代の私たちだからこそ感じる統一感なのかもしれません。
裏を返せば、昔の人が今作を見ると、目を回すかも。
痛快で、アニメーションの進化を感じさせてくれる作品でした。
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