日本の底を知り、落ちないように備えるための本:『ボトム・オブ・ジャパン 日本のどん底』
未来にそなえるには「最悪のシナリオ」を想定すること。
そう信じています。
しかし「最悪のシナリオ」はすでに日本に表出しています。
それを描き出したのが『ボトム・オブ・ジャパン』という一冊。
とにかくもう衝撃的な内容。
いままで知ることがなかった、社会の底(デリヘル嬢、シングルマザー風俗嬢、脱法シェアハウス、ひきこもり、ホームレス)の実態をリアルに描き切っています。
「普通の生活」は、いとも簡単に崩れおちる!という「残酷な現実」を淡々とみせてくれます。
今回は、そんな本からの3つの視点を紹介します。
大前提「政府はあなたを守ってはくれない」
著者が断言しているのが「政治家の無力さ」。
経済が縮小していくなかで、日本国民が低所得者層に落ちていきますが、政治家はそれを止める力を持っていません。
それは、過去を振り返っても明らかです。
・就職氷河期に対して何もできない
・国民が苦しむなかで消費税の引き上げ
・2000年代の格差拡大の時、多くの若者が非正規雇用に追いやられていくのを後押し
つまり経済が低迷しても、国民の困窮は放置される運命にあります。
雇用に関しては政府が何もしてくれないので、最後のセーフティーネットである「生活保護」の受給が増えているのも、当然といえば当然に思えます。
非正規雇用から這い上がるには?
本書では、いかに「非正規雇用」が絶望的かが語られています。
たとえば、
・長時間労働をしても、収入が少ない
・景気が悪くなったら、いつでも解雇や雇い止め
・仕事をやればやるほど貧乏になっていく
・スキルを身につける時間的な余裕もなければ、精神的余裕もない
・その日暮らしをしているうちに、歳をとって、ますます這い上がれなくなる
・一度非正規雇用に落ちれば這い上がれない社会
唯一、そこから抜け出す方法は「高度なスキル」を身につけること。
誰にでもできる仕事を一生懸命するのではなく、スキルを磨く時間を増やして、「誰にでもできるわけでない」稼げる仕事にシフトする方向に向かう必要があります。
個人的には、プログラミングやデータサイエンス、デジタルマーケティングなどが当てはまると思います。
備えよ!生活防衛!
本書の最後には、30個の「できて当たり前の生活防衛」が開示されています。
リストラや収入が減ることが当たり前になる社会。
そんな社会では、これらの「当たり前」をいかにこなせるかが、生活の分かれ目になります。
ですので、一回は目を通しておくことをオススメします。
ここでは、そのなかでもとくに大切だと思う7つの防衛法を列挙します。
・貯金をすること
・見栄を張らないこと
・役に立つ勉強をすること
・引きこもり・ニートにならないこと
・ゲーム・テレビ・ネットの娯楽に溺れないこと
・社会のせいにしないこと
・投資能力を磨くこと
まとめ
どんどん下降している日本経済。
今後も間違いなく低迷して行きます。
『ボトム・オブ・ジャパン』は、そんな時代に備えるための一冊。
本書を手に「もしかすると、自分も底に落ちるかも知れない」というシミュレーションはしておいた方が良いと思います。
読むと絶望しますが、同時にやるべきことも見えてきます。
政治家にたよらず、自分の力で道を切り開くという覚悟をあたえてくれます。