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「夏物語」が教えてくれたこと|30代女性が抱える悩みと選択

ぼくは子どもはいらない派なのですが、妻は以前から子どもが欲しいと言っていて、最近その気持ちが強まっているようです。

これまでなんとか説得してきたのですが、どうやら限界に近づいている様子...

う~ん、どうしよう..

そんなときに、妻から『夏物語』をすすめられ、読むことになりました。

今回は、本書を読んで得た3つの視点をご紹介します。


1. あらすじ

夏物語』」は、川上未映子さんの長編小説です。

主人公の夏子は、30代後半の女性作家。

自身を「わたしにも若いときはあった。でも、わたしがきれいだったことはない」と語っています。(p.63)

夏子は、自分自身の中に生まれるさまざまな疑問や葛藤を抱えながらも、自分の子どもに会いたいと思い始めます。

貧しい家庭で育った夏子の過去、現在の生活、そして子どもを産むことへの考え方などが、繊細かつ大胆に描かれています。

生命の意味をめぐる真摯な問いが、物語をドライブさせます。

2. 子供を生むとは

小説の序盤では、主人公の夏子が貧しい家庭で育った様子が克明に描かれています。

この描写は少し辛いものもありましたが、結婚して子どもを産めば幸せになれるという単純な考えが、必ずしも現実と一致しないことを教えてくれました。

「産む」「産まない」「結婚する」「しない」「離婚する」「しない」

これらの選択肢は、それぞれ異なる人生の物語を生み出します。

しかし、異なる選択をした人々が、互いを理解し、共存することは簡単ではありません。

子供が欲しいなんて、なぜそんな凡庸なことを言うの。真に偉大な作家は、男も女も子どもなんかいませんよ。

p.400

欲望には、理由はいらないから。たとえそれが人を傷つける行為であっても、欲望に理由はいらないものね。人を殺すことにも、生むことにも、べつに理由はいらないのかもしれないね。

p.431

さまざまな視点から子供を生むことについての意見が提出され、生む理由、生まない理由の双方を知ることができます。

そもそも、子供を産まない人が増えているのは、経済的な理由が大きいのではないでしょうか。

しかし、夏子の場合は少し違います。

裕福な家庭ではなかった夏子は、姉と二人で働きながら生活してきました。

この経験から、どんな状況でも生き抜く力である「サバイバルスキル」を身につけています。

だからこそ、いかに貧しい状況でも、子供を産んで育てたいという強い願いを持ったのではないでしょうか。

3. 大阪の雰囲気を味わう豊かな関西弁

ぼくは大阪と縁がなく、大阪人の知り合いもいません。

そのため、小説に出てくる大阪の描写は、新鮮で興味深いものでした。

昭和末期から平成初期にかけての大阪、とくに下町の人々の暮らしや文化がリアルに描かれており、まるでタイムスリップしたような感覚を味わうことができました。

おばちゃんパーマをかけた中年女性が闊歩する、活気あふれる大阪の風景が目に浮かぶようです。

関西弁というのは、目的として「語り」がある。その最高形態をめざすためにイントネーション、文法、スピードが奇形化。結果、語られる内容も奇形化した。(p.254)

と登場人物の一人が語っているのが印象的でした。

まとめ

夏物語』は、子供を産むことの意味を深く考えさせられる小説です。

結婚や出産は、人生の大きなイベントですが、必ずしも幸せの基準ではありません。

生むか生まざるべきか、答えのない問いにいかに答えるか。または考えずに決断するか。

この小説を読むことで、自分自身の人生について、改めて考えるきっかけになるかもしれません。

すくなくとも、ぼくはこの小説を読んで、子供がほしいとはやはり思いませんでしたが、妻の気持ちがすこし分かったような気がします。

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