レビュー『藤子・F・不二雄の発想術』
「あぁ、ドラえもんがいれば!」
社会人になってから、何度こう思ったことでしょう。
なにか困ったことがあると、子供の頃にみた、ミライの便利道具を出してくれる猫型ロボットのことを思い出すなんて。
よほど大きな影響を受けているのだと思います。
そして、そもそもどのようにしてドラえもんが誕生したのか、その発想法が気になりだしました。
そこで手にとったのが本書。
ドラえもんの作者であるマンガ界のレジェンド、藤子・F・不二雄先生に学ぶ「発想術の本」で、すべてのクリエイターに、創作のヒントをあたえてくれます。
感銘を受けたのが、作者も「模倣」を重視していたこと。
もちろん、ただコピーするだけではありません。
感銘を受けた作品の「骨組み」だけを使用し、のこりを自分で組み上げます。
表面ではなく、構造自体を模倣することで、あたらしいモノを生み出すことが可能となります。
この手法は、マンガだけではなく小説や音楽、はたまたビジネスプランにも転用が可能だと思いました。
また、藤子・F・不二雄先生のアイディア帳の使い方も参考になりました。
先生は「タネ手帳」と呼んでおり、そこにいつでも思いついたときにアイディアを書き残すようにしていたそうです。
そして、その場では考えを深めずにストック。
何かを創作する段階になったら、そのタネ手帳を見返します。
「アイディアをためる」作業と、「アイディアを選択」する作業に分けることによって、効率よく必要なアイディアが手に入ると思いました。
藤子・F・不二雄先生は『ドラえもん』をはじめ、現代の若い方は知らない人が多いかもしれませんが、『パーマン』や『キテレツ大百科』の作者でもあります。
本書は、これまでに発表された膨大なインタビューやエッセイから厳選された「創作の極意」がまとめられており、ふとした時に読み返したいと思いました。
本書を片手に、いつの日か「ドラえもん」を超えるアイディアを生み出したいです。