『高慢と偏見』上巻を読んでみた
名作と言われる『高慢と偏見』の上巻を読み終わったのだが、面白い!
たったの二日で読み終わることができた。
『高慢と偏見』は当時のイギリス上流社会に属する女性の結婚事情と、誤解と偏見から起こる恋のすれ違いを描いた恋愛小説。
軽妙なストーリー展開と精緻を極めた人物描写により、オースティンの傑作と言われるだけあり、次の展開が気になり、ページをめくる手が止まらなくなる作品だった。
あらすじ
舞台は18世紀末から19世紀初頭のイギリスの片田舎のロンボーン。
5人姉妹のベネット家では、父親のベネット氏が亡くなれば、当時の相続法により家も土地も、遠縁の従兄弟の手へと渡ってしまう。
そんな折、町に独身の青年資産家ビングリーが別荘を借りて引っ越してきた。
ベネット夫人は早速、娘たちを引き合わせようと舞踏会の約束を取り付け、美しい長女のジェーンとビングリーが惹かれ合う。
一方、次女である主人公のエリザベスは、舞踏会でビングリーの友人であり気取り屋のダーシーが、自分のことを軽んじる高慢な態度に強い反感を抱く。
実際ダーシーは、エリザベスの瞳に宿る知性の魅力に惹かれ始めていたのだが、プライドの高さが災いして、格下の家の出身であるエリザベスとなかなか打ち解けることができない。
これら二組の恋のゆくえを軸に物語が進められていく。
魅力的なキャラクターたち
本作では魅力的なキャラクターたちがストーリーを彩っている。
主人公エリザベスの父親であるベネット氏は曲者で、書斎で好きな読書と思索にふけって自分が楽しんでいられればいいといった感じで、娘の結婚相手探しには我関せずの態度をとっている。
彼らは自分の妻と娘を馬鹿呼ばわりし、彼女たちに舞踏会で恥をかかせることもいとわないどころか、それを楽しんでいるふしがある。
母親のベネット夫人は娘たちに金持ちの婿を取って片付けてしまおうと躍起になっており、世間話にしか興味がない。
というのも18世紀のイギリスでは、女性が自立できる職業はほとんどなく、良い結婚相手を見付けることが女性の幸せとされた。
相続財産や持参金が少ない女性が、良い結婚相手を見付けることは非常に難しく、結婚できなければ生涯、一族の居候の独身女性として過ごさなければならない。
このため結婚は、現代に比べて切実な問題だった。
それゆえに、婚期が遅れていたエリザベスの親友が、エリザベスに求婚して断られてしまった身分の高い男性を奪い、結婚してしまうといった出来事も起こる。
そう、生活がかかっているので、人によっては結婚相手との相性やお互いが好きかどうかなんていうのは二の次なのだ。
『世界の十大小説』の一つに選ばれる
イギリスの人気作家であるサマセット・モーム(『月と六ペンス』が代表作)が『世界の十大小説』の一つに選び、その中でオースティンを以下のように評している。
モームの言うように娯楽小説だ。
また、ぼくたちの日常生活とは異なる、18世紀末のイギリスの貴族社会の一旦を垣間見せてくれる歴史資料でもある。
テレビやインターネットがない時代、噂話やゴシップ、舞踏会といったものが娯楽だった時代がこういうものだったのかと思わせる。
また、現代との違いだけではなく、男女のすれ違いや恋模様は現代と変わらず普遍的な本質を捉えており、それゆえに世界中に愛される作品になっている。
さすがはオースティン作品の傑作とされている作品だ。
下巻を買うのが楽しみだ。