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ドイツの介護・医療制度は、実はすごくない『老後の誤算』
ドイツへの移住を考えているのだが、日本にいる間に、いろいろと準備をすすめたい。
例えば、「両親の老後」をどうするのか。
そして、ドイツに永住する場合、ドイツの介護保険はどうなっているのかといった情報収集などなど。
そんななか見つけたのが本書。
ドイツに移住し「日本にのこる両親の老後」を体験した著者による本だ。
日本とドイツの介護・医療制度についての比較もされており、勉強になることが多かった。
両親の老後
本書を読むまで、「特養」という言葉も知らなかった。
「特養」は特別養護老人ホームの略で、社会福祉法人や地方自治体によって公的に運営されている施設。
営利を目的としている民間の「有料老人ホーム」と比べてると安いというメリットがる。
しかし個室が少なく、緊急性が高くなければ、入所まで何年も待たされるケースもあるのだそう。
そもそも実家の近くに、「特養」と「有料老人ホーム」があるのかどうかも知らないので、調べようと思う。
日本の問題点
日本は「人手不足」という介護の担い手についての深刻な課題がある。
介護人材は、2035年にはじつに79万人が不足すると予測されている。
介護にかぎらず、医師の数に目をむけると、日本の人口あたりの医師の数はなんと、ドイツの6割以下という数字も。
すでに医療現場に大きな負荷がかかっているが、2025年以降には、団塊の世代が後期高齢者となる。
増加する患者に対応しきれるかどうか心配だ。
ドイツでも人手不足が問題になっているものの、東欧諸国から多くの移民を受け入れているため、深刻さは日本のほうが上だと感じた。
ちなみに日本は世界第1位の高齢国家で、ドイツも世界第4位の高齢国家だ。
ドイツの問題点
結論からいうと、福祉や医療制度について、ドイツが特段優れているわけではない。
いままでは漠然と、ドイツのほうが、日本よりも福祉や医療制度が進んでいると思っていたので驚いた。
以下の日本と比べて、ドイツのデメリットを挙げてみる。
・一般的な「法的強制医療保険」と、お金持ちのための「プライベート医療保険」の医療格差。
・プライベート医療保険の加入者しか診ない医院も増えている。
・ゆえに、裕福でなければ、じゅうぶんな医療を受けることができない。
・ドイツでは一般人が医者にかかるには、アポ取りが必要で数日待ちも珍しくない。
・しかも何度も受診をすることができない。
・老人ホームの費用が日本よりも高い。
・具体的には、老人ホーム費用は、介護保険を使っても自己負担が月額20万円を超えることが普通。
・ゆえに事実上、老人ホームはお金持ちしか入れない。
高齢化が社会を蝕みつつある状況は日本と同じだが、格差の幅が日本よりも大きいのは意外だった。
おわりに
著者はドイツ在住35年超。
本書では欧州の高齢国であるドイツが苦しむ介護と医療の問題を紹介し、日本との比較もなされており読み応えがあった。
「私たち日本人が受けている医療は、質において奇跡に近いほど高い」と著者がかたるほど、介護や医療においては日本はドイツより恵まれている。
しかし、日本のほうが人材不足の深刻さが高く、今後は医療従事者が疲弊し、日本でその介護や医療制度を維持できる可能性は、ドイツよりもずっと低いと考えるべきと著者の意見が印象的だった。
また、著者が日本で両親の入居施設さがしに奔走した体験談は、いつかは自分もと考えると、とても他人事とは思えなかった。
両親へはドイツ移住への意思はつたえており、応援もしてくれているのだが、両親の老後についてはどうするのか話あっていない。
つぎ実家に帰った時に、ゆっくり話したいと思う。
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