うわさが5人を殺したのか?『つけびの村』レビュー
ぼく自身、山口県出身ということもあり、気になっていた本がこちら。
『つけびの村』です。
2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された「山口連続殺人放火事件」
気鋭のノンフィクションライターが、ネットとマスコミによって拡散された「うわさ話」をひとつずつ地道におっていきます。
発表のあてもないまま書いた原稿を「note」に投稿したところ、インフルエンサーによって拡散し、思わぬ反響から書籍化された一冊。
事件ノンフィクションとしては異色のベストセラーとなり、藤原ヒロシら各界の著名人からも絶賛の声が上がりました。
今回は、本書から学んだ3つの視点をご紹介します。
1. 事件のおおまかな内容
もともと犯人は、長年にわたって都会に住んでいました。
40代のころ、親の面倒を見に何十年ぶりに故郷に戻ってきます。
当時の所持金は1,000万円ほど。
さまざまな流行や情報を知り、手に職を身につけていた彼は、住人のためを思って「地域おこし」に邁進します。
しかし、周囲からは受け容れてもらえず、孤立することに。
とくにその地域では「うわさ」が日常的な娯楽になっており、うわさはすぐに周囲へと広がります。
結果、「自分は変人扱いされ、噂話でいつも悪口を言われている」と被害妄想を膨らませ、周囲との交流も断絶。
絶経済的困窮もあり、凶行に至ってしまいます。
犯行当時の犯人の貯金額は1,627円。所持金は4,246円ほど。
2. 事件ノンフィクションの定型
著者いわく、一般的な事件ノンフィクションの定型は以下となります。
・犯人の生い立ち→事件の経緯
・周辺人物・被害者・遺族・犯人への取材を経て著者が自分なりに、犯人のおかれた状況や事件の動機を結論づけ
・事件が内包している社会問題を提示
著者は、今回の事件においては、犯人が事件について正直に語る状態になく、妄想にとりつかれていたため、その定型を断念。
また、著者の「村のうわさ」を追いかけたいという気持ちもあり、独自のスタイルを実験しています。
以下が、ぼくが抽出した、本書での著者のスタイルです。
・事件の概要とナゾの提示(張り紙)
・著者が事件にかかわるようになった経緯(夜這い記事)
・その地域の歴史と、臨場感あふれる現地取材
・犯人像にせまる(家族ふくめて)
・周辺環境について(うわさ)
・メタ視点で書籍化について
・事件の深層にせまる(信仰)
・判決
3. もしも村に移住するならばの教訓
本書を読んだ範囲で、村に移住する場合の覚書をまとめました。
・草刈りがきちんとされているかどうかで、村の仲の良さ、悪さがわかる
・うわさだけが娯楽になっているところには住んではいけない
・移住者は、都会風をふかせてはいけない
・「ありがとう」と、他の人の行為に感謝の気持ちを伝えることが大切
・稼ぎ口が大切
・経済的に困窮していると、自分中心でしかものを考えない傾向にある
・定期的に問題(盗み、放火)を起こす人が身近にいるところや、それを放置している場所には住まない
・動物は、定期的に医者に見せられないなら飼わない
当たり前のことばかりですが、本書を読むことで改めてその重要性を認識しました。
まとめ
『つけびの村』は、真相解明に挑んだ新世代のノンフィクション。
閉鎖的なコミュニティにおける人間関係や、現代社会が抱える問題を深く掘り下げています。
筆者の方の取材と構成力に脱帽。
ページをめくる手がとまらず、面白かったです!
本書は、ノンフィクション好きはもちろん、地方(とくに人口が少ない村)への移住を検討している人に読んでもらいたい一冊です。
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