養生訓 巻第三 飲食上 鳳凰堂流解釈㊼
原文を現代文に改変
鹽と酢と辛き物と、この三味を多く食うべからず。
この三味を多く食らい、渇きて湯を多く飲めば、湿を生じ脾を破る。
湯、茶、羹多く飲むべからず。
右の三味を食らって大いにかわかば、葛の粉か天花粉を熱湯に立てて、飲んで渇きを留むべし。多く湯を飲む事を止めんがためなり。葛など飲めば湯は氣を塞ぐ。
鳳凰堂流意訳
塩、酢、辛いもの。この三味は多食してはいけない。
この三味を多食すると喉が渇く。喉が渇くと湯が欲しくなり、湯を多く飲めば、湿を生じ脾を破る。
湯、茶、羹も多飲してはいけない。
右の三味を多飲すれば、喉が大変渇くので、そうなったら葛の粉か天花粉を熱湯に立てて、飲んで渇きを止める。
これは湯を多飲する事を止めるためである。
葛などを飲めば湯が氣を塞ぐ。
鳳凰堂流解釈
辛いものを食べ過ぎるとバカになると、幼少期言われていました。
何事にも節度があり、太過不及(過不足)によっては身体のバランスが大きく崩れます。
味の偏り、過多を鎮める為に水、お湯、茶等が欲しくなり、今度はそれによって更に渇きが生じると同時に体内に湿邪(湿気、代謝できていない水分)が溜まります。
そんな時はお腹がちゃぽちゃぽと音を鳴らして教えてくれます。
こうなると、葛や天花粉で対処しろと言っていますが、葛は胃に一定時間水と熱を溜めるだけなので、単独で使うより天花粉、更には熱を抑える知母等と合わせる事で、玉益湯に近くなります。(玉益湯は消渇(渇きを潤す)の漢方です)