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養生訓 巻六 醫を擇ぶ 鳳凰堂流解釈㉓
原文を現代文に改変
張仲景は百世の醫祖なり。その後歴代の明醫すくなからず。各發明する處多しといえども、各其説に偏僻の失あり。取捨すべし。孫思邈は又養生の祖なり。千金方をあらわす。養生の術も醫方も皆宗とすべし。老荘を好んで異術の人なれど、長ずるところ多し。醫生に進むるに、儒書に通じ、易を知るを以てす。盧照隣に答えし數語皆至理あり。此人後世に益あり。醫術に功ある事、皇甫謐、葛洪、陶弘景等の諸士に越えたり。壽百餘歳なりしは、よく保養の術に長ぜし効(しるし)なるべし。
鳳凰堂流意訳
張仲景は東洋医学の医聖である。
その後に歴代名医が多く輩出されたが、それらは発明したものが多くとも、各学説には偏っている面があるので取捨選択した方が良い。
孫思邈は又養生の祖であり、千金方を著しくた。養生の術も医方も皆打ち立てた事が多い。
老荘を好み異術を多く示しているが長所も多い。
医師に進めるのは、儒学書に通じ、易を知ること。
盧照隣が書いている書のいくつかの言葉は全てに至理があり、この人の言葉は世に益がある。
医術の功は皇甫謐、葛洪、陶弘景等の諸士を越えている。
寿命が100歳以上になるのは、よく保養の術を行った印である。
鳳凰堂流解釈
今の世の中、寿命が長い事が良いのかどうかはさておき、
父母からもらい受けた身体を上手く手入れしてきた証でもあります。
医学の前に、養生学(導引、食養等)が大切だからこそ、孫思邈(そんしばく)が取り上げられています。