今を生きる
アドラー心理学というのをご存じですか? 2013年に発行され、ベストセラーとなった『嫌われる勇気』。この本は、アドラー心理学に基づいて“哲人”と“青年”が幸福への道を徹底的に討論したものになります。
アドラー心理学の教えの中の1つ、今を生きるということを今回はお話しします。
私たちの時間軸には、過去・現在・未来がありますね。過去があったからこそ今の自分があるわけですが、過去に縛られている人はいませんか?
親が○○してくれなかったから、自分は今こうなっている。
昔、友人からひどいことを言われて人間関係が上手に築けない。
昔の自分はとても輝いていた、生き生きと仕事をして、周りからもきれいだと言ってもらっていた。
時に人は、過ぎ去った「過去の辛いイメージ」を思い出して、辛い思いをしてしまいます。逆に「過去の栄光やよかった時のイメージ」に執着して今の自分と比べつらい思いをしている人もいるかもしれません。また、まだ来ない「未来の不安をイメージ」することでも辛くなります。
しかし、過去を変えることはできないし、未来を操ることもできません。修正できない過去も、不確定な未来も気にする必要はなく、「いま、ここ」を真剣に生きることが辛い思いをしないためには必要です。
失われたものをどうにかして取り戻そうと過去に執着するのではなく、過去を手放すのです。過去と同様、未来もまた手放すもの。まだ始まっていない親の介護のことで悩むことも、家族が病気にならないか心配すること…これから起こるかどうかわからないことを考えてもどうしようもないし、答えも出ませんよね…。
過去から抜け出せない方はとてもたくさんおられます。アドラー心理学に限らず、心理学の世界では、ゲシュタルト療法、マインドフルネスなど様々な技法の中で「いま、ここ」に注目することが大切だといわれています。いうのは簡単ですが、実践しようとするとなかなか難しいものですが、ぜひ、「いま、ここ」を今までよりも少し意識してみてください。
おまけ
年齢とともに今まではこれぐらい平気だったのに、…前は無理しても大丈夫だったのに、ということ増えていませんか?年齢とともに、体力は低下ししていきます。若いころと同じようにはエネルギーが続かなくなるので、今の自分にあったエネルギー配分を見極め、自分に無理をさせない生活をすることも大切です。
以前の自分と比べるのではなく、これからの自分の体との付き合い方を少しづつ作っていきましょう。過去には戻れません。過去が今までで一番良かったと感じてしまうと、どんどんネガティブになっていきます。「いま、ここ」をみて、できないことも増えているかもしれませんが、できることも増えています。
今の自分らしく生きていきましょう。
ほっと岡山では、臨床心理士の野﨑詩織先生に相談員として来ていただいています。
「悩みや困りごとはあるけど、病院に行って相談するのはちょっと…」「こんな悩みを相談してもいいのだろうか…」など、相談内容は何でも構いません。おひとりで悩まずに、お気軽にご相談ください。