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Episode 343 放牧されて育つのです。

ものすごくワガママな言い方をすれば、私は親に「育ててもらった」と思ったことが無かったのだと思います。
それは「人間としての社会規範を教わる」という意味の話です。
動物的に「世話」をしてもらったという記憶はあるのです…そうでなければ私は今ここに存在していません。
衛生的な環境で栄養価の高い食事を頂き、温かくて安心して眠れる環境を提供してもらったのは事実です。
それを否定する気はありません。
でも、私は両親から「人間が生きていくために本当に必要なもの」を教えてもらったという記憶がないのです。

私の両親は昭和高度成長期に青春時代を過ごした、典型的なサラリーマンとその妻でした。
昭和40年代の公団型の団地住まいで、通勤電車に揺られて都心の職場に出勤する父は、その時代を絵に描いたような人だったのだと思います。
そしてそれを家で支える母もね。
団地暮らしの核家族、両親に姉の4人という家族構成も当時の典型だったワケです。

同じような環境の子どもが多く住み、団地単独で自治会が作れるほどの規模の「島」で私は育ったのです。
外周道路は約1.5km、敷地内への車両の進入は禁止され、25棟の建物の中心に大きな公園が配された…それは当に、「島」でした。
私はこの「島」で放し飼いにされたのです。

多分、両親はそう思っていません。
でも、この時の「放牧」が、私の思考のベースを作ったのは間違いないのでしょうね。

私の考え方が子育てに上手く適合しないのは、私が上手く社会性を吸収できなかったからなのだと思います。
上手く作り上げられなかった子ども時代の社会性が、子育てにどのように影響したのかについてお話ししたいと思います。

旧ブログ アーカイブ 2019/8/23

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