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「会話の教科書」

〈この文章は1752文字です〉

こんばんは。蛍智宏です。

今日は「元コミュ障アナウンサーが考案した会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書」という本を読んだので感想を残していきます。タイトルが長いので、ここからは公式ハッシュタグに使われている「会話の教科書」という呼び方をしていきます。

私がこの本を読んだきっかけから話そうと思います。この本の作者である吉田尚記さんはニッポン放送のアナウンサーの方で、アニメのイベントの司会やラジオパーソナリティをしていたり、現在では舞台に出演されていたりと、その筋では大変有名な方です。「よっぴーさん」と呼ばれていて、私も心の中ではそう呼びます(笑) この方のラジオをたまに聞きますが、この本を出版する前から場の回しがうまい人という印象を持っていました。そのため「会話の教科書」への期待値は非常に高かったです。

ただ、発売当初は買うには至らず、おもしろそーだなくらいで思考が止まっていました。そんな時、私が所属している災害ボランティアの団体でオンライン傾聴活動を行うことになりました。傾聴活動とは被災された方に他の人に聞いてもらいたいことを話してもらって楽になっていただくという活動で、ここで出た声から次の支援活動を考えることもある大切な機会です。そもそも私は傾聴活動の経験から浅いのに加えて、相手の空気を読み取りにくいオンラインということで、二重に緊張していました。当日を迎えてみても、変な間を開けてしまったり、質問に気を取られすぎて相手のペースを乱してしまったりと、散々な有様でした。そこで、この本を読むことに決めたのです。

では、この本の内容の説明に移ります。この本には大きな特徴があります。それは、この本が吉田さんが作ったコミュニケーション研究会というサロン活動を元に書かれていることです。吉田さんは、コミュニケーションを苦手としている人を集めて、その方たちへのオープンカウンセリングのような形式で専門家の方も呼んで執筆したのです。この斬新なアイデアと苦労たるや。でも、そのおかげで吉田さんの技術+専門家の知見+サロンメンバーの経験という、とても信頼できる内容になっています。

この本ではまず、吉田さんとサロンメンバーがコミュニケーションにまつわる悩みを専門家の方に相談する章から始まります。例えば「どうでもいい話ができない」という悩みがあるとします。これに対し、専門家の方は雑談についての研究や、その結果から雑談には共感脳という脳の働きが大切だという話をするなどして、その悩みの分析をしていくわけです。

そして次章では、具体的に悩みに対する対処法、いわゆる武器を紹介していきます。先ほどの「どうでもいい話ができない」という悩みには、オウム返し法や疑問形活用法などの武器が有効のようです。武器は前章の悩みに対応しているというよりは汎用性が高いものが多いので、あの悩みもその悩みもこの武器で倒せるのか!という気分になれます。さらに、これらの武器をサロンメンバーが日常生活で使ってみた感想も載っています。成功も失敗もありますが、どちらからでも学びがあります。

この「悩み→分析→対処法→実用例」という論理的なアドバイスも、この本の魅力だと思います。専門家の方が分析をする中で「人間の脳はこういう仕組みになっているから、○○は苦手」とか言えば納得しやすいし、サロンメンバーの体験談をみると自分もやってみようかしらとやる気になります。

また、私は雑談に対してやる気が出ないというか、特に気まずさを感じないので雑談をする必要性がいまいち感じられないという風にも思っているのですが、同時に雑談は出来た方が印象とかも良いのだろうなと思っていました。私はこの本でたくさんの武器の使い方を習ったわけですが、読み終わった直後は武器を使ってみたくなりました。つまり、珍しくも「雑談したい」と思えたわけです。これも、1つの成長だなと感じました。

このように、この本は斬新なつくりになっていることから、読後にはたくさんの武器と大きな自信を手に入れることができました。これからも傾聴ボランティアをするたびに、読み返すような一冊になると思います。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

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