あやとり家族15
アダルトチルドレン、ピエロの完成
お父さんはマザコンだった。お母さんはそれも気に食わない。自分の言うことは聞いてくれないが父の母であるばーちゃんの言うことは聞く。
その関係を知っている偽物のじーちゃんは寡黙な人だから一切口に出さない。
そんなじーちゃんはよく見ている人だったから、どちらかというとお母さんやももちゃんのことを気にかけてくれていたと思う。
ばーちゃんとお母さんはもちろん仲が良くなかった。双子を一緒に育てたいのに取られてしまった鬱憤がお母さんにはある。でもそれをお父さんに言っても「仕方ない」で済まされてしまう。
その溜まった鬱憤はことあることにももちゃんのお漏らしに対する態度や、ヒステリーを起こしすずちゃんを池に沈める行為に発展する。お兄ちゃんはしょっちゅう外に連れ出されていたものだからそんなこと知らない。
私は常に人の顔色を伺っていた。今だったら怒られないかなとか、特にばーちゃんに話しかけるのは1番怖かった。小さいももちゃんに「お前はお母さんの子だから」と平気で言われていたから。
ばーちゃんの中では、すずちゃんは自分の子。ももちゃんはお母さんの子として扱っていたから可愛くなかったようだ。いつもそっけない態度。
でも自分が何かしたいときは都合よく使う。夏になると浴衣を手縫いで作ってくれた。もちろん最初に出来上がるのはすずちゃんのやつ。お花が入ったピンクの可愛い柄で。
私のは桜の花びらが舞っていて白と黒。私は全然気に入らなかった。もっと可愛らしいのがよかった。
だけど折角作ってくれたし、気に入らないなんて怖くて言えないから「ありがとう」ばーちゃんは自己満足で時折こういうことをする。
その自己満足がいつくるかわからないから怖かった。普段優しくされる方がよっぽどよかった。
それも小学校に入ると土曜日の学校が終わるのを待って、デパートへ連れていってくれることが多くなった。3人もしくはお兄ちゃんもいると4人で行く。
着いたら食堂でお昼ご飯を食べる。私は一度気にいるとそれをずっと注文する。
ホットケーキから始まり次は五目そばその後はミックスフライ。一年間は同じものを食べていたと思う。
デパートの後はパチンコ屋だ。とにかく”落ちている玉を拾え”とばーちゃんから指示が来るからパチンコ屋中歩き回って探して見つけてはばーちゃんのところに持っていく。
お母さんはパチンコ屋に行かせるばーちゃんを怒っていた。もちろんプレハブ小屋でお父さんが帰ってきた時に私の前で激怒して訴える。
自分がパチンコ屋の話をしなければ喧嘩にならなかったのに。
両親が喧嘩しているのも嫌だし、これは自分のせいだと思い込むようになった。
それを回避させるため、急に歌を歌ってみたり「見て見て」って踊って見せたりして、話をそらせることに気を向けるようになった。
それからは人の顔色見て怒りそうだったら、ふざけてみせる。
機嫌が悪そうだったらお手伝いして気を紛らわせるとか、気を使って人の機嫌をとることが当たり前になっていった。