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あやとり家族50〜初めての結婚と初めての離婚❷〜

そこで私は決意した

パニック障害とわかって仕事ができなくなってからは
家で毎日何もせずゲームばかりしている夫
環境が変わらなければ発作は起きないことに怠惰した生活を送っている

始めのうちはそれなら良かったと安堵していたが
働かなければ収入はない

一緒に買い物に行くこともできない
重たい荷物を私たちが住む4階まで運ぶ手伝いもしてくれない
ゴミ捨ても人に会うからできない
冬になれば灯油が必要だが、買いに行くのも運ぶのも私
灯油缶って重たいことは誰でもわかると思うけど
灯油をヒーターに入れるのも全て私の役割

夫は病気を理由にモンスターとなった

今思えば夫も被害者の一人
過保護な親に育てられ、どうやって生活するのかを学ぶことができなかった人

甘えることは学んだが、人に対する優しさ思いやりなど欠如していた
自分の思い通りになるという考え
相手のことを考える余地はないに等しかった

その時私は”挫折で培った”資格を武器に介護の仕事に戻っていた
新しく新設したばかりのデイケアでお客さん、つまり老人がいない
資格を持っていたのが私だけという事もあり、ケアマネージャーがいる事業所に挨拶回りする役割を任せられた

アポなしで100件以上挨拶回りをし、2カ月で満床となった
自分でも良くやったと今でも思う

その間も家でやることは変わらない
一日中家にいる夫のためにご飯を準備して出かける

そのうちお金も無くなり私は父の遺産に手をつけて生活するようになった

なぜそこまでしたかというと、自分の両親のようになりたくなかったからだ

喧嘩をしたくないから、そのことは夫には黙っていたし
喧嘩をしたくないから、何も頼まなかったし
離婚家系は離婚するというのが嫌だったし
いつか良くなると信じて頑張っていた

このことは母にも言えなかった
心配かけたくなかったから

ある日、突然涙が出てきた
”何やっているんだろう私”

一生懸命やってはいるが何一つ進んでいるような気がしない
”このまま一生こうやって過ごすのか?”

そこで私は決意した
”どうせ苦しい生活ならせめて自分がやりたいことをやろう”って

このままじゃ自分の心が死んじゃうって思ったから

12月のことだった。看護師になろうと決意し会社に辞表を提出
願書が間に合う学校を探し、学費が安い学校が一校だけ見つかった

受験日は二月
何を勉強して良いかもわからなかったが、中学生レベルの勉強をして見事合格することができた

入学してからはもちろん収入はない
奨学金就学金を借りても不足、勉強のためならと父の遺産を使い始めたが後ろめたさもあった

だからアルバイトを始めた
一日中家にいる夫のために3食分のご飯を用意し、朝学校へ行く
学校が終わったら18:00から21:00までバイトをして家に帰る

家に帰ると三日前のよそったカレーが夫のいる部屋で胞子ができている
腐海の森かよって

食べないなら片付けるとか、食器を洗うとか
そういったことすら一切しない

”この人、人の心無いかもしれない”

そんな気持ちを持ったまま時間だけが過ぎていき、何の変化のない事に嫌気が差して病院を変えることを決意した

新しい病院を探し夫を連れて行った
そこの先生はベテランだった

”正解”

何度か連れていくうちにその先生とも仲良くなった

その頃、夫に変化があった
突然「外に行ってみようと思う、今ならできそう」
飲みにいく誘いがあったようで、銀行のATMにも行けなかった夫が急に言い出した

それでも外に出られるならと、お金を渡し飲みに行かせた

楽しそうに普通に帰ってくる夫
少しは良くなってきているんだなと錯覚する私

そんなことが何度か続く

夜になるとワクワクして元気に出ていくが昼間はゲーム三昧
”ん?”この人元気じゃない?

疑惑が出始めた
やたらと携帯を気にしていることが多くなった

当時流行していたmixiで友達を作り乱婚パーティーなるものに参加していることを知った

何がパニック障害だ!
治ってるじゃないか!

女の勘って鋭い、何かおかしいと思って夫の携帯を見た私

自分もアバターを作り彼が引っかかるのを待つとほんの2、3日で引っかかってきた

「良かったらおいでよ」なんて誘われて何時に集合かまで聞いてドタキャンした
丁度その日に「今日も外に出られそう」と言われた

知らないふりしてお金を渡して行かせた

私も馬鹿だ

こんなことをする夫だけど本当に具合の悪い時があって
私が友達と電話しているだけでパニック発作を起こすため
友達との連絡は一切できなかった

私はどんどん孤立していき自分がわからなくなっていった
多分”鬱状態”に追い込まれていたんだと思う

ある日私は一人でその病院に患者として受診した

先生に全てを話して言われた答えが
「彼はもう、コントロールできてますよ。あとはキャラクターの問題ですね。
奥さんもね、紙切れ一枚のことですから。彼は変わりません、我慢することはないですよ」だった

要は離婚を勧められたということだ




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