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自作短歌集「イレギュラーハートビート」

・ここのところ三、四ヶ月かけてちまちま作ってきた短歌たちの中でも優秀な奴らを歌集として纏めて投稿します。名前は「イレギュラーハートビート」です。全部で大体40首程あります。
・本当はもう少し多く一度に出したかったのですが、改めて通してみるとほとんどの歌がボツになりました。悲しい。


「イレギュラーハートビート」


胸に手を当てるとイレギュラーハートビート 意図せず生きてしまうなんて


裸のまま、溶けるほど抱き合って不可視の凄然さに気付けたら、


哀しげな背骨の匂い それがラクトンだったと知る2年後


危ないよ。笑った顔が、ヘーきだよ。水面に映る逆さまの像


何もかも捨ててしまえば身体すら捨ててしまえばそれすらも夢だ。


網膜がふれる瞬間散る火花のような恋はぽつりぽつりと


筆を弾く肌の曲線だけを追う 印象が夢となる雫を


横に君がいる時にはいつもより少し輝く街灯の光


あれは多分残像だった。 光から生まれるよーな 産んでるよーな


着膨れたダウンパーカー 「ぱんだみたい」笑う君の鼻水 クリスタル


「海に化ける僕の孤独は膨らんで遥か彼方の歌になるんだよ。」


張り詰めた肋骨や背骨は乾いた(Forever)君だけのアイコニック


シンセだけ掻き鳴らす夢を観てた夏 辛さや夢やそれらすべてが


古本にレシート挟む過去が在る。(どうして生きてるの?)「分からない。」


海岸に落ちる珊瑚を拾い出す。君を尻目に愛を数える。


街中にふと現れた女神様それを見た時僕は死にたい


モノクロの漫画の序文読み散らす、雑に消費するのやだなぁ、って


果てしなく純粋な僕は雨にも止まらぬ速さで光溶かす


「自由ってなんだろうね。」「誰かに殺される夢を見たの、昨日か一昨日」


永遠は無い。それでも生きてみる気持ち それはサイコロで3を出すこと


死を抱え、海に来てみてふと想う。海も鳴くのか。誰の為にだ。


ピンクノイズ オークリーの帽子とペプシ・コーラ まじでそれだけ


目を閉じる数刻前に救われる或る日のヴィジョン浮かんで消えて


うぃるきんそん・たんさんすいのフレームにはいつしか触れた肌の湿り気


「犬 目 見え方」で調べる朝 ぼんやり淡くみられるらしい ふーん


この瞬間、幾つもの実在が朽ちていく 連続性 緩やかな死


Aメロ終わり即サビに入ってしまう曲のような人生だけど、


海で飲むコカ・コーラには潮の味。赤と青が抱き合う昼の暮れ


世界には落ち着ける場所など無くて 強いていうなら花瓶の歪み


中原も大岡もダンテもヘッセも宮沢も谷川も死んでいく


3秒間フロリダに住む少女に生まれ変わって、生まれ変わらせて


寿命切れ30秒前の瞬きは永遠の印象として白波に


本のやわさガラスの硬さどっちも生きてるって私の直感


つらいくるしいさむいかなしいわるいよわいひくいいたいくらい好き


標識にクローズアップ背景に吹き出し付けて中に死を入れる。


子供の頃沢山吐いた真の嘘 それらは全て聖書と同じ


Born after 2007 在りし日の埃だらけの旅人たちへ


部屋の隅 孤独に眠るボクの歯は月光を浴び青白く笑う


いつか来る終わりについて考える。(どうして生きてるの?)「分からない。」


1らしい君の比喩表現 もうすぐ春の嵐が着きます。 敬具




以上です。ここまで読んでくれた方はいるでしょうか?居たなら一つでも良いと思える歌はあったでしょうか?もしあれば幸いです。
 この中で、私の一番好きな歌は「哀しげな背骨の匂い それがラクトンだったと知る2年後」です。この歌が頭から離れません。
 短歌はかくも面白い。

2024/12/15









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