改めて縄文時代の生活を考えた
浜松市博物館。ここは蜆塚公園となっている蜆塚遺跡に隣接して設置されています。実際の貝塚も保存展示されているし、復元された竪穴住居もあって見所のある公園です。
勿論、博物館も氷河期に日本列島にやってきたナウマンゾウや本州最古の人骨の浜北人の化石人骨などの展示もあり興味を掻き立てられます。
しかし、何といっても僕が驚いたのは二つの展示物です。「矢のささったシカの骨」、「刺突穴のある頭蓋骨」。
さる博物館の担当者または学芸員の方に聞いた話では、縄文人が弓矢を獲得したことは革命的なことだった。距離の離れた獲物でも弓矢が有れば捕獲できるようになった。槍よりも相当強力な狩猟道具になったはずだということでした。
しかし、他の博物館の担当の方は、弓矢なんかでは動物は捕獲できないよ、威力が小さすぎる。大体の場合は落とし穴で捕獲していただろうとの事でした。
確かに鹿や猪などの中大型の動物には小さな石鏃しか付いていない弓矢では仕留めるまではなかなか難しかっただろうと思えます。主な獲物はウサギやリスなどの小動物だっただろうとは想像できます。しかし、この出土品を見る限り実際に弓矢で鹿を狙っていたのです。もっとも出土品の鹿の骨は矢じりによって傷付いた部分が盛り上がっていて、これが致命傷にななっておらず、かなりの期間生存していたようだということですから、弓矢が主な狩猟道具では無かったのかも知れないけれど、でも、実際に捕獲しようとして使用されていたと言うことです。
縄文人も生活の為にはいろんな知恵をしぼり、工夫をしてまた、野山を走り回っていたことが想像できる素晴らしい出土品だと思います。
縄文時代の遺跡からは骨折をした複数の遺骨が同時に発見されるなどの集団で争いごとが有ったような出土は有りません。少人数のグループが常緑広葉樹を中心とした森の中で生活し、森が瘦せてくれば移動するといった生活では自然資源が人口に対して豊富であり、争う必要が無かったからだろうと思えます。
しかし、この人骨を見ると人為的な力が加わったであろう損傷が見られます。集団的ではなくても、何らかの争いが有ったことが想像できます。食べ物の奪い合いなのか、それとも人間関係のもつれ?恋愛の関係する?
やっぱりいつの時代でも人間関係は難しいものなのかも知れません。
浜松市博物館
浜松市中区蜆塚四丁目22-1
053-456-2208
午前9時~午後5時
月曜日(休日の場合は開館)・祝日の翌日
大人310円/高校生150円/小中学生無料
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