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キックボードをドンペリに変えてしまった、嘘みたいな夫

夫は普段の生活にキックボードを使っています。

大人でキックボードに乗っている人、私は今のところ、夫以外に見たことがありません。が、自転車よりもカジュアルで、歩くよりも早いキックボードを夫は非常に気に入っており、これで、街を走り回っています。

(あなたの街でキックボードを乗り回している、身長180センチのひょろ長の男性を見かけたらそれは私の夫かもしれません。)


夫はある日、マンションの自分の部屋の扉の前で、キックボードのタイヤを変えるなどの改造作業をしていました。タイヤをこだわりのものに変えることで、走行性を高めるらしいです。謎のこだわりを発揮する、不思議な夫です。

いっしょうけんめい、キックボードの前で格闘する夫の姿を見て、マンションの向かいに住んでいた男性が声をかけてきました。

「キックボード乗ってるんだ! いいね! フランスだと大人でもみんな乗ってるよ! 懐かしいなあ」

そこで、会話が盛り上がり、夫と男性はキックボードを愛する大人同士、意気投合しました。

(あなたはキックボードで意気投合する大人を見たことはありますか…? 私はありません。嘘みたいだなと思いました。)


夫は意気投合した記念に、その方に、自分の持っていたキックボードをプレゼントしました。

「キックボードが2台あって、1台あまっているので、これを差し上げますよ。ぜひ日本でも、乗ってください!」

といった感じの会話をしたそうです。

私からしてみると、「え、タダであげちゃうの!?」という感じなんですが、夫はせっかくだし、欲しい人にあげよう!と思ったみたいです。大人のキックボード普及の会の、会長か何かなのかな?

そうしたら、そのシェフが「あ、じゃあちょっと待ってね!!」とマンションの自分の部屋に入り、中からドンペリを持ってきました。

「お礼にこれあげるよ!」

ですって。


しかも、調べたところ、ドンペリ2008。大体2万円はします。夫が乗っているキックボードは1万円ちょっとなはず。

あのー、交換するにしては、値段が違いすぎやしませんか!?

夫も、別に何かを貰うつもりで言ったのではないのに、とてもびっくりする物々交換となりました。

私はけち臭い性格なので、2台あっても「1台あげよう!」(←しかもタダで)とは思わないのですが、そういった気兼ねない行動がもっとすごいことを起こすんだなあと、なんだか感動した出来事でした。

後日、ドンペリを、友達がおうちに遊びに来た時に開けました。私は授乳中で悔しくも飲めなかったのですが、すごくおいしかったみたいです。


もう今は引っ越してしまって、マンションのご近所さんではなくなってしまったのですが、あの男性は、今頃、キックボードに乗っているのかなあ?

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