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「FLAMIN' HOT」:用務員からグローバルブランドの役員へ | きのう、なに読んだ?

「FLAMIN' HOT 逆境に打ち勝つ「弱き者」の成功法則」は、小学校6年生以降はロクに学校にも行ってなかったメキシコ系移民の著者が、ドリトスとか作っているフリトレー社の用務員から重役にまで上り詰めた経験と、そこから学んだことを伝えてくれる本だ。

編集を担当された朝海さんをご紹介いただいて、英語版と日本語版の初稿を読み、推薦させていただくことになった。

底辺サラリーマン(というより、時給で働く労働者)のヒーロー物語。内容もさることながら、著者であるリチャード・モンタニェズさんの語り口が明るくてテンポが良い。失敗談も笑ってしまうし、教訓もお説教くさくない。のっけから面白くて、一気にのめり込んでしまった。

一番初めの「モップがけにも、仕事に名を刻め」という祖父の教えからして感動する。幹部の業績報告会議にだまって座り、指摘されたら「会社のことを学びたいので」と正直に言う。つまんない仕事しか回ってこない、チャンスさえあれば…とくすぶるサラリーマンに、明るくカツを入れてくれるエピソードが次々に出てくる。

学がなくて難しい言葉を知らないから、新しい言葉に触れるたび語源まで遡って調べるようになったという話も示唆的。知ったつもりになって、それ以上深める機会を見失っていることがどれほどあるか、と自問した。

この本を読んで「アメリカの会社だから自由でリベラルで実力主義なんだ。それに引き換えうちの会社は…むりむり」と思うかもしれない。でもそれは、著者のメッセージから外れた解釈ではないだろうか。著者だって、そうとう無理ゲーな中、道を切り開いている。そして、そのように道を切り開いたのは、フリトレー社でおそらく著者だけだ。だから、会社の環境がどうこうという話ではない。

本書を読み終わり、どんな人なのかもう少し知りたくて検索してみた。そしたら、「ヒットブランド Flamin' Hot を開発したのは別の人物だ」とLA Timesが告発し、それに対し本人が反論し、そして数日後にフリトレー社から公式に「LA Times に掲載された告発は誤解だった」と混乱を回収する発表がなされた…という流れがあったことを知った。いずこも大変ですなあ。

著者ほど突き抜けて、自分を信じて思うところを守り通すことと、周りに役に立とうと小さな仕事にも献身的に貢献するのを両立できる人は、極めて稀だろう。でも、私たち一人ひとり、自分なりの信念と献身を最大限発揮しようと日々努力することは、できる。

うまず、たゆまず、あきらめず。自分を追い込む暗さではなく、明るさと希望と感謝と共に実践する姿勢が魅力的だ。

今日は、以上です。ごきげんよう。


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