オープン2年目、赤字続きの喫茶店がお客さんでいっぱいになったワケ その①
これで良いのか?経営支援
ある大都市の喫茶店。オープンして1年が経とうとするのに、売上が上がらないという相談です。
ご主人の話をじっくり伺うことから始めます。
スタートして、5分も経たないうちに、問題点とご主人の強みが見えてきました。
お店をオープンした際に、金融機関からの借り入れがあり、売上拡大に向けて、経営コンサルの紹介を受けたそうです。
そのご主人からは開店直後にこんな指導を受けました。
・喫茶店は競合が多いので、商品で差別化は難しい
・レトロ喫茶ブームだが、ブームに乗るのも一過性なのでお勧めしない
・SNSでの情報発信は必須。インスタで「映える写真」を毎日アップ
なんだかな~っていうアドバイスです。
商品で差別化できないといいながら、映える写真アップって、どうすりゃいいの?
そもそも、「具体的にどうする」っていうアドバイスがないのです。
ご主人は「腹落ち」が悪く、もやもやのまま時間は過ぎていきました。
そして、開店以降赤字のまま1年が経とうとするとき、たまたま、私と出会いました。
ご主人の強みは、すぐにわかりました。
「経営コンサルって、信頼できません。」
ご主人が始めにおっしゃった言葉です。
無理もありません。金融機関から紹介された経営コンサルに藁をもすがる思いで、アドバイスを求めたら、この程度だったのですから。
私は、まずご主人の味方であることを理解していただき、
食品やスイーツの分野でも素人でないことをお話ししました。
そのうえで、お話しをうかがうこと5分も経たずして、このお店のコンセプトの骨格が見えてきました。
凄いと思ったのは、ご主人は喫茶店をオープンするまでは、この都市では知らない人がいないぐらいの、超有名洋菓子店でパティシエで活躍していたのです。
つまり、この喫茶店は、超有名洋菓子店のパティシエが開いた喫茶店だったのです。
メニューも、おもわず唸ってしまう、原料・製法・品質と味の追求のレベルの高さでした。
ドリンクはもちろんですが、提供されるスイーツは「さすが有名店のパティシエの作品」と、どれもが納得です。
どうして、以前支援していた経営コンサルはこんな重要なことに気が付かなかったのでしょうか。
強みの見える化
ご主人のお店は一言でいうと、「超有名店のパティシエが開いた喫茶店」です。
「喫茶店だから、コーヒーや紅茶、その他ドリンクが美味しいのは当たり前。でも、この店のウリはスイーツではないでしょうか?」
これを、ご主人にストレートに問いました。
「言われてみると、そうだよね」
ご主人が始めて、ご自身の強みに気が付いた瞬間です。
ひとつづつ、改善
そこで、私が提案したのは「商品名の改善」です。
一般的なコンサルは、メニューの見直しやSNSでの情報発信と言いがちです。でも、この喫茶店はご主人のほぼワンオペ。
30台後半の元パティシエ=職人なので、SNSに明るいはずがありません。
そんなご主人に無理やり「インスタをやれ」「Xをやれ」なんて、アドバイスしないのが、私の信条です。(笑)
まず、「超有名店のパティシエが開いた喫茶店」がお客様に響くのか、ご主人が実感することです。
なので、カネがかからず、すぐに実行できる、ということで店内で販売しているスイーツのネーミングを変えることを提案しました。
例えば、「メレンゲ」。
お店のプライスカート(POP)には、手書きで「メレンゲ 250円」としか書いていません。カウンターの隅に陳列していますが、一日1~2袋しか売れません。
しかし、試食させていただくと、口の中にいれたとたん、サーッと広がるおいしさとくちどけ。今までに食べたことがないような、絶品メレンゲでした。
この、くちどけの良さに私は感動したため、
「くちどけふんわり 淡雪メレンゲ」に商品名を変えることを提案。
ご主人は、すぐにPOPを書き換えました。
おいしさと味わい方の見える化
この作戦会議が終わった翌々日、ご主人からLINEが入ってきました。
「大変です! 淡雪メレンゲが翌日は8個、今日は12個も売れました!!」
効果はすぐに現れました。
ご主人はご自身の強みが見えてきて、商品づくりに自信が出てきました。
お客様にとっても、超有名店のパティシエが作るスイーツが手軽に味わえることができたのです。
傾聴と気づき
過去の経営コンサルが見抜けなかったのは、ご主人のバックボーンや現在のお店の経営に対する思いを把握できなかったことです。
こんな基本ができない経営コンサルがいるとは、閉口しますが・・・まあこんなことが現状なのでしょう。
経営コンサルのフォーマットに入れ込んだだけ・・なのでしょうね。
ご主人の話を聞けば、5分でわかります。
そして、具体的な提案も(ご主人が無理しない質と量で)おのずと見えてくるものです。
経営支援って、玉石混交なんだなあ~って思うのです。
さて、このご主人のチャレンジと私の支援はまだまだ続きます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?