【日本神話③】天岩戸 真っ暗闇
イザナギの「黄泉還り」の次は、アマテラス、スサノオ、ツクヨミの時代となります。スサノオは気性が荒く、イザナギに根の国へ追放されてしまいます。または、母イザナミのいる根の国に会いに行きたいと泣き喚いたともいわれています。その際、スサノオは姉のアマテラスに挨拶に行きたいと願い、高天原へ向かうのでした。
ところが、スサノオが歩を進めるたびに雷鳴がとどろき、大地は揺れ、海は荒れ果てたそうです。何の騒ぎかとアマテラスは驚き、武装してスサノオに高天原から立ち去るよう警告しました。
誤解を訴えるスサノオでしたが、アマテラスは信じません。そこで正邪を占う「誓約(うけい)」の儀を行うこととなりました。お互いの持ち物を交換して神生みを行うと、スサノオの剣を手にしたアマテラスは3女神(宗像三神)を生みました。
次にアマテラスの勾玉を手にしたスサノオは5男神を生みました。スサノオの剣から女神が生まれたことで「スサノオに邪心はない」こととなり、高天原に入ることが許されたのでした。
疑いが晴れたスサノオでしたが、次第に乱暴狼藉を繰り返すようになりました。田畑を荒らし、神殿に排泄物をまき散らし、さらには毛皮を剥いだ馬を機織り小屋に投げ込むと、それに驚いた侍女が死んでしまいました。
これに怒ったアマテラスは、天の岩屋に入ってしまいます。太陽神のアマテラスが姿を見せなくなったことで、世界は日が昇らない真っ暗闇となってしまいました。
光のない世界となり、困り果てた八百万の神たちは、天の安河原に集まり、思金神(オモイカネノカミ)を中心に対策を協議します。そこで、天宇受売女命(アメノウズメノミコト)が肌を露出するほどに滑稽な踊りを披露すると、これを見た(世界は真っ暗闇なので見ることはできないが・・・)神々は大笑いしました。
神々たちの笑い声は岩屋戸の中にも響き渡り、何をそんなに騒いでいるのか?とアマテラスが岩戸を少し開けて外をのぞくと、その瞬間に力自慢の天手力男神(アメノタヂカラオノカミ)が岩戸を持ち上げ、遠くの彼方まで投げ捨て、アマテラスの手を握って外へ引き出しました。
こうして世界に光が戻りました。スサノオは罰として高天原を追放され、地上の出雲国へと向かうのでした。
さて、アマテラスの岩戸隠れの神話ですが、どんな史実が元ネタになっているのでしょうか?
よく聞く話が、日食ですね。太陽が隠れてしまう自然現象を凶事ととらえる信仰心。ですが、私個人の見解ではありますが、もう少し人間世界を驚かせるような自然現象ではないかと思います。日食ですと、太陽が隠れる時間がそれほど長くはありませんし、例えば異常気象で作物が育たなくなるような、そんな凶事にはならないと思います。
スサノオが暴れまくった点にも注目すると、火山爆発に伴う火山灰で曇り空が続き、寒冷化したほどの自然の驚異ではないでしょうか?
大地が揺れ、海も荒れ、「皮を剥いだ馬(熱く焼けた火山岩石?)」が家の屋根を突き破って落ちてきて、人が死ぬ・・・もちろん、地震や津波、猛暑冷夏による凶作だったりするかもしれません。
いずれにせよ、大昔の人たちから見てもさらに大昔に起きた大災害の記憶の警鐘であり、「人知の及ばぬ自然の猛威」を何世代にも渡って語り継いだ結果、こうした神々の大喧嘩のようなエピソードとしてまとまり、日本人の歴史となったのかもしれませんね。当時の人たちがショックを受けトラウマになるような事件。子孫のためにも語り継ぎたくなります。
また、九州方面は火山が多そうですしね。阿蘇山、雲仙岳、九州南部の島々などなど・・・やはり、ご先祖様による子孫への警鐘なのでしょうか?
天安河原と天岩戸神社↓
表紙の写真=天岩戸神社のある洞窟(2013年12月31日撮影)