ほっくら物語#30(Minecraft)
” 王様の秘密”の巻
山頂の城の王様に就任して、幾年月。
王という立場から、玉座を離れることができない。
威厳を放つ以外に、することがない。
そんな王様にも、唯一秘密の楽しみがあった。
誰でも知っている行商人の扱う品は微妙なものが多い。
本当に気が向いた時だけ、商品を聞いてみるが
「いらんがな」と呟いてしまいそうな品ばかり。
たまに、「お!」と目を見張って
喉から手が出るほど欲しくても、そんな時に限ってエメラルドがないとか
とにかく、行商人と交易することはほぼない。
ところが、
みなが寝静まったころ、城の玉座を訪れる行商人は
取り扱う品が違う……らしい。
その商品とは
「絵画」
いろんな国を回って集めてきたお宝だと
嘯く行商人は、王様の不遇を逆手に取り
あることないこと、面白おかしく話す。
王様はこの時間をひそかに楽しみにしているのだ。
行商人も、絵画を買ってもらえるからというより
ふだん王様ぐらいしか話をちゃんと聞いてくれないので
足繁く通うのだろう。
王様が購入した絵画は40点以上。
お城のあちこちに飾ったが、ついに場所がなくなった。
そこで、お城の地下にギャラリーを作らせた。
たとえ自分は見ることができなくても
訪れた客や働く市民の心を豊かにしてくれたらいい。
そんなエピソードがあったとか、なかったとか
知らんけど。
まぁ、都市伝説だな。
ってわけで、ギャラリーのご紹介。
まだ収集が完了したわけではない。
それでは王様の楽しみが無くなってしまうので。
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先日、実家の最寄り(と言っても車で15分)のスーパーにでかけた。
数少ない陳列棚でしばし立ちすくむ。
1個200円のトマトと1本100円のキューリとにらめっこ。
県庁所在地の街中での話ならわかる。
だが、ここは山奥の畑や田んぼしかない場所。
(休耕してて草ぼうぼうなところが多いけど)
かつて、我が家の裏の菜園には
夏、いつでも捥いで食せるトマトやキューリがたわわになっていた。
ナスもピーマンもオクラも……。
ウリもスイカもスイートコーンも。
食べきれずに、そのまま土に帰るものも多かった。
当然だが、あれは当たり前の光景ではなかった。
両親がせっせと土を起こし、種をまき、支柱を立て
大切に育てた野菜たち
たまにしか帰らないくせに、そこにあるのが当然のように、好きなだけ持って帰った。
もう、
裏の菜園には当時の豊かさなんて見る影もない。
ただ、
トマト200円に悩むくらいなら
自分で作ってみろ!という声が聞こえそうだ。
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