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【読書日記】還暦不行届

エヴァンゲリオンを一度も観たことがないし、漫画を自らすすんで読まなくなって30年くらい経つんですけど、安野モヨコさんの『監督不行届』は私のベストワン漫画です。

20年ほど前、たまたま書店で出逢って買いました。

そういえばニュージーランドに引っ越す時に唯一持って行った漫画が『監督不行届』。

なんでだろう?

……って、ずっと不思議だったんですけど、『還暦不行届』の中の庵野監督のインタビューを読んで「エウレカ!」と(心の中で)叫びましたよね。(詳しくは『還暦〜』をお読みください。)

あ、もちろん、作品としてとても面白いからというのはベースにあるんですけど、それに加えて、モヨコさん&庵野監督が結婚に求めていることが私たち夫婦と近いんですよね。日々のやりとりに親近感を感じます。

エキセントリックな監督の言動には驚くのですが、それに対するモヨコさんの対応が良いんですよね。この人はとても賢い人だと分かります。

私とオットもお互いのことが大好きで、出来ればずっと一緒にいたいと思っています。

「2人で幸せに暮らしたい」というのが夫婦のコンセンサスです。

今はムスメを育てているのでそこに「ムスメを心身ともに健やかに育てる」というコンセンサスも加わっているんですけどね。

そのコンセンサスをもとに、日々、話し合いや努力……というか工夫や改善をしています。

オットはニュージーランドに引っ越すまでトヨ◯グループで20年ほど働いてましたからね、カイゼンが染みついております。

独身の人は「そんなやりとり面倒くさいなあ」と思うかもしれません。

でも、その面倒くささを上回る幸せと喜びがあるんだなあ。今のところ。

『監督不行届』では新婚さんだったお二人が『還暦不行届』では結婚20年。

それぞれの変化した部分と変化しなかった部分に驚いたり笑ったり。

モヨコさんのエッセイストとしてのまなざしは相変わらずキレキレで、ご自身のことも庵野監督のことも冷静に観察されていてすごい。

エピソードの切り取り方と構図が抜群なんですよね。見習いたいものです。

ところで。最初に「私はエヴァンゲリオンを観たことがない」と書きましたが、オットは逆にエヴァと庵野監督作品にハマったタイプ。

結婚前に買ったグッズやDVDが未開封で保存されています。

グッズはともかくDVDが未開封だと「観たい時はどうするの?」と不思議だったのですが、オットの解決策は「録画してあるやつを観る」もしくは「保存用と別に同じ物を買う」

最初に聞いた時は脱力したものです。

(……っていうか、結婚前のオットは「使う用」「予備」「保存用」と同じ物を3つ以上買っていた男なんですよね。ムスメが生まれた頃からやめましたけど。)

でも、まあ、未開封であることに価値を感じる人がいるのは理解できます。

共感はしないけど、尊重はする。

あ、でも、予備が欲しい気持ちには共感の嵐です。

もしもオットが私の買った物にまで「未開封」を強要する人なら争いが勃発したでしょうが、それはない。脱力することはあっても平和でした。むしろ笑える。

お互いのこういう性格や相性について「一緒にいるために努力を重ねる価値がある」と思っている間は、夫婦として大丈夫な気がしています。たぶんね。






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