『中原中也の手紙』を読む

今日(5月19日)は中原中也の友人、安原喜弘さんのお誕生日です。

1907年4月29日生まれの中也と1908年5月19日生まれの安原さん。

山口出身の中也と東京育ちの安原さん。

150cm足らずだった中也と168cmの安原さん。

男兄弟の長男である中也と歳の離れた妹がいる次男の安原さん。

人と徹底的に議論したがる中也と控えめで争いごとが苦手な安原さん。

どこか対称的な印象のある二人。
そんな二人がなぜ磁石のように引きつけあったのか。

安原喜弘さんが書いた『中原中也の手紙』(講談社文芸文庫)を読んだ。
この本を読むと分かるのだが、安原さんは自分の事は最小限しか話さない。でも中也に対する眼差しが優しい。それは数十年後に書いた文章でも変わらない。中也の言葉を借りれば「沈黙家だけど、あたたかい気質を持つ」安原さん。中也は安原さんのそういう所にもどかしく思いながらも救われていたのかなと思う。

どんなことがきっかけで二人は近づいたのだろう。中也は安原さんのどういう所に興味を持ったのだろう。安原さんはどうしてあんなに中也からの手紙を大事にしていたのだろう。(これはご本人も驚いたみたいだけど)

正解が分からないからこそ読者の想像力が掻き立てられ虜にされてしまう。二人にはそのような魅力がある。

真実がどうであったかはご本人達に聞かない限り分からない話だけど、色んな所に散りばめられているピースを集めて想像することは私たちにもできる。ピースを集めることは、少しずつ二人に近づくことができる気がしてとても楽しい。


今日は二人がレコードで聴いたというベートーヴェンの「第九」と晩年の安原さんが好きだったというモーツァルトの曲を聴きながら過ごそうかな……。



ちょっとお恥ずかしい文章になってしまった(汗)
とにかく『中原中也の手紙』はオススメなので読んでみてください!もしかしたら中也さんのイメージが変わるかも?そして、中也さんを支え、守り続けた安原さんについて知っていただけたら嬉しいです。


最後まで読んでいただきありがとうございました!


【参考文献】

「中原中也の手紙」(講談社文芸文庫) 安原喜弘 著・編


「中原中也記念館 館報 2016年 第21号」 
『特別インタビュー 「安原喜弘文庫」が伝えるもの~安原喜秀氏にきく