【夢への執着駅】現実逃避駅からの乗り換え ❷

行きつく先は、どこだろう。
終点は、なんためにあるのだろう。
現実逃避駅にいては、なにも生まれないが
夢への終着駅へ行ったとしてもなにも始まらない。
けれどはじまりはおわりだ。
わたしは未来の駅へと向かうため、
まず「夢への終着駅」で降りようと決めた。

夢への執着駅を降りるとそこには、私がこれまでに見た夢の中の世界が広がっていた。

✳︎✳︎

夜のデパートの中は慌しい。

夜のデパートは勿論営業していない。
でもある「乗り物」にだけは人が集まっている。なんだろう。
この乗り物はタダだけど、ただの乗り物ではない。
急な段差の、少々危険な場所にそれはあり、
ぎゅうぎゅうづめになって、人が乗っているのだ。私はとくにそれに乗るつもりはない。
みんな乗っている人達は苦しそうで、
決して楽しそうではなかったからだ。

でも、私にはその乗り物が何度もいうけど、
ただの乗りものではないことだけは知っていた。その乗り物は、まるで現実世界で感じる「窮屈な」世界を極端に表わしているものだったのかもしれない。

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夜のデパートの中はとても静かだ。
夜のデパートの暗い従業員用の廊下は、病院へと続いている。
私は病院へいくところだったのだ。
私は体の具合が悪いわけでもなければ病人でもない。ただ、病院にいる誰かに会いに行くために向かっているのだ。
ところが夢の中ではどうだろう。なかなか病院へと辿り着けない。
ぐるぐる同じところを歩いている。心の中で私は彷徨っている。
そこへ、私が会いに行くべき人がやってきた。
その人は私に全く普通に元気よく声をかけてきた。
もうげんきなの?ってきいたら、「ううん、まだ。でも君がわたしに会いに来てくれるまでにきっと彷徨っているんじゃないかと思ったのでこっちから来た。」
って言うんだ。
私は申し訳なく思ったが、その知り合いに会えて内心ほっとしていた。

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