【夢への執着駅】現実逃避駅からの乗り換え ❶
行きつく先は、どこだろう。
終点は、なんためにあるのだろう。
現実逃避駅にいては、なにも生まれないが
夢への終着駅へ行ったとしてもなにも始まらない。
けれどはじまりはおわりだ。
わたしは未来の駅へと向かうため、
まず「夢への終着駅」で降りようと決めた。
夢への執着駅を降りるとそこには、私がこれまでに見た夢の中の世界が広がっていた。
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雨の降る寒い日に、私はこんな光景をみた。
母親とその友達が、カーテンのないさびれた店で、カキ氷を食べていた。
彼女たちの談話する様子は外から丸見えだった。
非常に楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
でも私にはなんだか、とてもそのカキ氷が美味しそうにみえなかったのだ。
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いつもの駅の前のコンビニエンスストアの入口には、若者が何人もいた。
その中に私がいる。
まっくらな夜に若者たちの希望の笑い声。
コンビニの蛍光灯がその様子を照らす。
そのすっきりとした、明るい雰囲気の中に
私がいるのだ。
だれからも咎められずに、誰からも嫌われずに。いつもの24時間営業のコンビニの前で、とくに何をしている訳でもない。
ただ私は、そのすっきりと濁りのない爽やかな世界に浸っているだけなのだった。