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#35自分の心の中にいる小人たちはあなたの外面どのように影響を与えるのか~交流分析~

 こんにちは、人馬交流分析士のりょーじ(@Horse Value)です。人馬交流分析って何?りょーじって誰?それをやって何になるの?という疑問への答えは#1をお読みください!

#31~#33では、人と馬との交流分析ではなく、人と人との交流分析についてお話してきました。この「交流分析」というのは心理学の1つの手法なんでしたね。今日は#31~#33の続きなので、まだ読んでないよ、という人は#31から読んでください!

 
 馬と人との交流体験から人々が役に立つことをお伝えするというのが僕の役目なのですが、今回も含めて数回かけて、この心理学的手法「交流分析」についてお話ししています。

 というのも、僕の経験に基づく解説だけではどうしても学びがぼんやりとしてしまいがちだからです。#29まででお話してきたH.O.R.S.E.理論は僕が馬との交流の中で発見した「人間本来のあり方」なんですが、「そう在れたらいいけどどうしたらいいか分からない」となりがちで、どうも具体的な提案に欠けてしまいます。

 
 でも、世の中には、人と人との交流を細かく分析することを通じて「人間とはこういう在り方」なのだ、というのを発見し、在り方だけではなく行動にまで落とし込んだ学問があるんです。それが心理学の「交流分析」です。

 じゃあ、それとの一致を見ていかない手はないよね、ということで「交流分析」をまず皆さんにご紹介したいわけです。

 さて、前回まででは交流分析のコアとなる自我状態についてお話してきました。

 「自我状態=今、ここの在り方」のことでした。そしてその自我状態は5つに分類され、その5つは全ての人が自分の一面として持っているということをお話ししてきました。

 今回は、その自我状態がどのような表れ方をしていくのかを見ていきたいと思います!それによって自分や相手が交流の中でどの自我状態にあるのか理解しやすくなります!

 今日のラインナップはこちら!
・それぞれの自我状態の表れ方
・口グセの特徴
・仕草、表情などの身体に表れる特徴
・自分が今、ここでどのような自我状態なのかを知る良い方法とは

それぞれの自我状態の表れ方

 誰かと交流する際の皆さんの在り方が5つの在り方に分類されることは#31〜#33でお話ししてきました。その5つとはCP(批判的親)NP(養育的親)A(大人)FC(自由な子供)AC(適応した子供)でした。

 5つの側面全てを、ご自身が持っているということはなんとなくイメージしていただけたと思います。では交流ではそのような5つの側面がどのように立ち現れているんでしょうか?

 それぞれの自我状態には特徴的な表れ方がある、と言われています。#31〜#33でお話ししてきた自我状態が表れている例は、皆さんに自我状態について分かりやすく理解してもらうためにその中から選んだものです。

 自我状態は色々な表れ方をします。まずは口グセです。この言語的な表れ方は何を重視するのかをよく示します。気づいたらよくこんな言葉を発しているな、というのは重要な手がかりです。

 もう一つは非言語的なものです。例えば、手や身体の仕草、表情です。この部分はご自身ではなかなか見ることができませんので誰かから教えてもらう必要があります。

 
 言語的なものと非言語的なものとの両方について見ていきましょう。

口グセの特徴

 皆さんには口グセはありますか?実は、誰しも言葉の使い方にはクセがあると思います。

 誰もが気づくような特徴的なフレーズでなかったとしても、言葉の選び方というのは人それぞれ特徴がありますし、何かについて話している時の頻出ワードみたいなものを誰しも持っています。

 そしてその頻出ワードは皆さんの価値観を表していることが多いです。

 例えば、最近会った嫌な人の話をしていると、何度も「その人のやり方の効率が…」とか「非効率的な…」とか言う人がいたとします。ここでの頻出ワードは「効率」で、その人の価値観は「効率が良いことが大事」ということなのかもしれません。

 それぞれの自我状態には、その状態の時何を重視しているのかという特徴があります。例えば、CP(批判的親)はルールを重視します。自分も他人も正しく生きよう、という価値観を持っています。

 「それは間違っている!」という口グセは、その人がルールをいかに大切にしているかを示しています。

 そのような口グセを自我状態ごとに見ていきましょう!

 CP(批判的親)の人の口ぐせは「規則は守るべきだ」「何が何でもそれを達成すべきだ」「それは良いことだ(悪いことだ)」「良心に恥じるようなことはするな」などです。

 社会のルールや自分の中のルールを大切にした発言ばかりです。

 NP(養育的親)の人は愛を重視しているのでした。口ぐせは「よくやったね」「ご苦労さん」「頑張れ、君ならできる」「愛しているよ」などです。

 励ましや慰め、愛情表現が多いです。

 A(大人)の人は、冷静さ、知識を重視するのでした。口ぐせは「まず事実を確認しましょう」「分析してみた結果、原因は〇〇です」などです。

 仕事の時にはこういう風に話さなくては、と思っている人が多いかもしれませんね。
 

研究室での彼らの話していることの多くはAから発せられているでしょう

 FC(自由な子ども)はひとときの楽しさを重視します。口ぐせは「だってやりたいんだもん!」「この先どうなってんだ?行ってみようぜ」「僕のせいじゃない」などです。

 特徴は、短期的なメリットを追求することです。動物的な人、とも言うことが出来ます。

 AC(適応する子ども)は痛みがないことを重視します。口ぐせは「いいですよ、そうしましょう」「私は別に…」「あなたやってよ」です。

 痛みを避ける、ということで争いを避けます。それでも、自分の痛みが争うことより大きくなると反発したり誰かに依存したりします。

 以前お話しした、従順さと反抗という相反する2つがACの一面なのはそういう「痛みを避ける」ことを重視しているからです。

 さて、このような口ぐせの中でご自身がよく言うな、と思ったものはありますか?逆にこれは中々言わないな、というものもあったかもしれません。

 とはいえ、これらの言葉全て人生で一度は使ったことのあるものだったんじゃないかな、と思います。つまり、人は全ての自我状態を持っていて、状況によって変化することの証拠でもあるのです。

 さあ、ここからは非言語的な特徴を見ていきましょう。

仕草、表情などの身体に表れる特徴

 言語的な癖ももちろん重要ですが、どのような表情をしているのか、どのような仕草をしているのか、というのも同じくらい、もしかしたらそれ以上に重要です。

 というのも、人間はかなり視覚に頼っているので、目から入ってくる情報がとても重要であるからです。なので、この仕草や表情については、他者のものを観察するときにより役立つといえるかもしれません。

 また、相手から何か嫌なこと言われたわけではないけど、無性に委縮してしまう、というのもこの相手の表情、仕草によるものである可能性が高いです。

 これは自分自身では制御不能であることも多いです。ということは、より自分自身の感情が素直に表れている可能性が高いです。感情と在り方は直結しているので、この表情や仕草には、在り方=自我状態がよく表れるのです。

 では、1つ1つの自我状態について見ていきましょう。表情、仕草と言っていますが、抽象的な表現もあります。その人から受ける表情、仕草の印象も含む、と考えてください。

 CP(批判的親)の特徴は「苦々しい表情」「威厳がある仕草、表情」「礼儀正しい」というものです。これは、ルールを重視するCPの在り方とものすごく関連しています。

 NP(養育的親)の特徴は「手を差し伸べる」「肩を抱く」「微笑む」「うなずく」などです。愛を重視するNPにぴったりの仕草だと思います。

 A(大人)の特徴は「思慮深い姿勢」「冷静な表情」「ゆっくりとした動き」などです。冷静さと知識を重視するAの特徴的な表れ方です。

 FC(自由な子ども)の特徴は「パワフルな振る舞い」「フシギそうな表情」「いたずらっぽい表情」などです。ちっちゃい子供がふざけているときにやるイメージですね。

 AC(適応する子ども)の特徴は「小さな動き」「認知、許可を求める目線」「人の顔色を伺う」「涙ぐんだ目」です。ちっちゃい子供が様子を伺っているときのイメージです。

 こんな風に、言語的ではない部分も自我状態によって大きく変わります。この仕草についても、皆さんはあまり自覚ないかもしれませんが状況によって変化しています。そして、どの人も全ての仕草をしたことが人生の中であると思いますので、それも5つの自我状態を誰しも持っているということが言えます。

自分が「今、ここで」どんな自我状態かを知る良い方法とは

 このような特徴は誰にでも、そして自分自身にもあてはまるというのが交流分析という学問の立場です。なので、ここまで見てきた発言や仕草は誰のものでもありません。皆さんがそれぞれ持っているものです。

 それでも、「今、ここ」ではそういった発言や仕草が現れ出ているのですから「今、ここ」では自我状態の何かが活性化している状態であると言えます。

 では、自分のどの自我状態が活性化されているかをどうやって知ることが有効なのでしょうか?

 実は、最も良い方法は「自分の見ている自分」と「他者から見ている自分」の両方を知ることです。

 自分の見ている自分を知るとは、「自分の中で重要としているものを自分の感情と紐づけながら確かめる」ということです。例えば自分がイライラしているときに、何になぜイライラしているのか、問うてみましょう。「〇〇だからイラついている」という答えによって自我状態が確かめられるはずです。

 しかしそれだけでは有効ではありません。自分自身にも隠された自分がいるからです。自分というのは巧妙に自分の一番見たくないものを見ずに痛みを避ける方法を持っているものだからです。

 なので他人からのフィードバックはものすごく重要です。仕草や表情などの特徴が曖昧だったのは、他者から自分の仕草や表情について「印象として」感じるままに意見をもらうためでもあります。

 もちろん、何をしているか、とか何を言ったかも教えてもらうことができると良いですが、相手から率直にどう感じるかフィードバックがもらえたら最高です。

 自分と接しているとき相手がどのような感情なのか、雰囲気なのか観察することも役に立ちます。自分がその人に影響を与えているので、その人を鏡として自分を見ることが出来るからです。

 実は、こういったフィードバックを人間同士で行うには、ファシリテータやコーチといった専門家の役割が重要になります。それくらい普段の交流では難しいということなんです。人間には「気を遣う」「嘘をつく」「自分を隠す」ということが出来るからです。

 だからこそ、自分を知る上で馬は最高のパートナーなのです。

 しかし、馬という動物はそんなことできません。なので馬という動物との交流では本当にありのままのフィードバックが得られます。たった1つ、皆さんは馬のことを知らないことだけが問題ですが、素直に感じれば1〜2時間で感じられるようになりますし僕らが手助けします。

 馬の感情を感じ取ることができるようになれば馬という動物は最高の鏡なのです。

 今日覚えてほしいことは、「仕草や表情で自我状態を見分けることが出来る」ということです。自我状態はそれぞれ特徴を持っているということを何となく覚えてほしいです!

 さて、自分を知るために相手を観察する、ということの意味は次回お話しする内容を理解していただくとより分かってきます。次回は、自分の自我状態が相手にどう影響を与えるか、その逆は?ということを見ていきます。

 明日も一日頑張りましょう!


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