誰にだって役割がある。(映画「SING シング」を観て)
イルミネーションが製作している映画ということで、「ミニオンズ」好きとしては早めに観なければと思っていたのですが。
「SING2」が公開されたタイミングで、ようやく前作をNetflixで観ることができました。
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まず感じたのは、随分とチグハグなストーリーだなということです。
閑古鳥が泣く劇場の支配人バスター・ムーン。起死回生の企画を打つべく、歌のオーディション企画を銘打ちます。賞金は1,000ドルの予定でしたが、事務スタッフのタイプミスによって100,000ドルとしてチラシに印字されてしまう。それがノーチェックのまま、風に飛ばされたことから物語は動きます。
多額の賞金を目当てに、オーディションへの応募が殺到。合格したのは、ちょっと「ワケあり」な動物たち。擬人化に定評のあるイルミネーションですが、よくぞここまで「ヘナチョコ」なキャラクターを拵えたなあと感心します。
物語は、商才のない(はずの)ムーンがやらかしてしまう様々なハプニングと共に進みます。
手持ち資金が明らかに足らず、到底100,000ドルも出せない状態。オーディション参加者に打ち明けることができないままでしたが、ひょんなことから資金不足がバレてしまいます。劇場崩壊という憂き目にも遭いつつ、ムーンの心は完全に折れます。
現実社会だったら、ここで万事休す。
しかしなぜか、オーディション参加者たちはコンサートへの意欲を燃やします。お金もないし劇場跡地も銀行所有になりながら、半ばゲリラ的にコンサートを実施。結果的にそれが大成功を収めるわけですが、何とも予定調和感が否めません。そもそも全編を通して、ムーンという主人公があまりに場当たり的で、それほど魅力ある人物として描かれていない。
にも関わらず、なぜ人が集まったのか。
ここが終始引っ掛かってしまい、僕は、物語に入り込めずにいました。(キッズ対象の作品とはいえ、「ミニオンズ」はキャラクター設定が緻密に計算されていました。同じ製作会社ということで、どうしても比較の上で鑑賞してしまいます)
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ちなみに僕は英語音声、日本語字幕で鑑賞しました。
このご時世、キッズ向け作品で、洋楽のトップアーティストの楽曲に触れられるのは貴重です。
それに加えて、この作品では「役割」の大切さを学べます。
ムーンの悪友である、羊のエディ。ムーンの無茶振りに付き合う優しさは微笑ましいのですが、冒頭からどこか「冴えない」キャラクターとして映ります。
ですが、コンサートでは、エディはDJとして舞台を盛り上げる役に徹します。舞台では歌唱するキャラクターたちが目立ちますが、エディが陰からパフォーマンスを盛り上げることに徹していたことは注目すべきでしょう。
パフォーマンスも、それぞれのキャラクターが一致団結してベストな歌唱を披露します。ロック、ダンス、バラード、歌謡曲。ジャンルそれぞれの魅力がたっぷり披露され、その多彩さがコンサートの成功につながりました。
一人ひとりは微力でも、全員が団結すれば力になる。
ちょっとベタですが、そんな「分かりやすさ」もスマッシュヒットの理由かもしれません。続編も好調とのこと。「Netflixからの映画館」という導線が寄与しているような気がします。
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(Netflixで観ることができます)
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