映画監督の「名刺」をつくるには。(映画「モンスターズ/地球外生命体」を観て)
「モンスターズ/地球外生命体」
(監督: ギャレス・エドワーズ、2010年)
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「GODZILLA ゴジラ」「ザ・クリエイター 創造者」のギャレス・エドワーズ監督が注目を集めるきっかけとなったのが本作。低予算ながら、TV番組のVFX担当としてコツコツ腕を磨いてきた成果が、本作では十二分に発揮されている。気持ち悪く、そして恐ろしげな謎の生物を描いてみせた。
メキシコでスクープを狙う写真家のコールダー。現地で怪我をした社長令嬢のサマンサと行動を共にする。最初はスクープを狙うも、あまりにめちゃくちゃで命の危険があると察し、危険区域からの脱出を図るという物語だ。
実はそれほどモンスターが登場するわけではない。
それでもモンスターの印象が残るのは、やはりモンスターの描き方が秀逸なのだろう。うにょうにょとタコのように伸びる手足は、気持ち悪く艶やかで、予想もつかない動きを見せる。
いつ主人公たちを襲ってくるのか、不穏なBGMとともにハラハラされられっぱなしだった。
ただ、ラストシーンは賛否を呼ぶだろう。人間とモンスターの共生(あるいは共生できないこと)を示唆しているのか、はたまた別の意図があるのか。その答えが「GODZILLA ゴジラ」以降の作品に続いていると思うのは、ちょっと論理の飛躍だろうか。
いずれにせよ、この作品は「ギャレス・エドワーズ」という一人のフィルムメーカーの名刺になった。その試みは大成功したわけで、映画の良し悪しとは別に、2020年代以降の映画監督のキャリアをどう築くかのヒントにもなるはずだ。
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ちなみに、昨日noteにアップした「デリシュ!」でも書いた、男性が女性に対する態度。偶然か、本作でも首を傾げるような言動があった。
作品を通して自己中心的に動く主人公のコールダー。サマンサを口説こうとした夜に「別の女性と一夜を共にする」行動に出るなど、同性として良い印象は全く持てなかった。
しかしながら作中では、半ば呆れていたサマンサが、最終的にコールダーに惹かれるという展開になっていて。極限状態が彼女をそういう気分にさせているのか何なのかは分からないけれど、「人物描写が稚拙」と批判されても仕方ないかなと感じる。(考えてみれば、「ザ・クリエイター 創造者」も、人物描写が優れていた作品というわけではなかったなと)
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「ゴジラ-1.0」も評判が良く、そしてApple TV+でも間もなく「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」が配信されます。
2023年末、俄かに怪獣映画が盛り上がっているように感じますが、たまたまなのだろうか……。
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