新しく実験的で、クリエイティブなガンダム(映画「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」を観て)

「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」を観ました。

上映初日から絶賛の嵐でしたが、予想をはるかに超えて素晴らしかったです。

私にとって「素晴らしい」の基準は、作品の完成度はもとより、「裏切りがあるかどうか」ということ。

そういう意味で、本作は見事な「裏切り」を見せてくれました。

そもそもガンダムシリーズは、一年戦争もの以外でも、大筋のプロットは決まっています。「軍人」と全く関係のなかった主人公(だいたい、超人的な能力を持っている)が戦争に巻き込まれ、ガンダムのトップパイロットになっていく。戦争が進むにつれ主人公は葛藤を抱え、そして現実と折り合いをつけながらガンダムに乗って戦っていく。

つまりは、「裏切り」が起こりづらいフォーマットのIPなわけです。

「一年戦争において、もしジオン公国が勝利したら」という“if”を持ち出すのは、ファンの間ではそれなりに楽しい「もしも」でした。

2020年代に入り、マルチバースの作品が多くなる中で、いよいよガンダムにも正式に「別の世界線」を提示する物語が生まれたのです。それが、「エヴァンゲリオン」や「シン・○○」を手掛けてきたカラーであることは、考えてみれば必然で。でも、まさか本当に、シャアが“主人公”となってガンダムに乗り込む物語が生まれるなんて。

まじで驚きました。
その驚きは、音楽にも通じています。

主題歌に起用された米津玄師。私は正直言って「そりゃガンダムも音楽に本腰入れるよね。でも、予告編を観る限り、米津玄師の『Plazma』は全然作品に合ってないじゃん。忙しい最中の依頼だったんだな」と軽く思っていました。

でも、ごめんなさい。私が間違っていました。

劇中で流れた「Plazma」は本当に格好良くて、ガンダムの世界観にぴったりでした。躍動感というか、米津さんの声質など、素晴らしいタイアップ。「虎に翼」よりも「君たちはどう生きるか」よりも(言うまでもなく「ラストマイル」よりも)、素晴らしいタイアップだと断言できます。

挿入歌も素晴らしかった。星街すいせいの「もうどうなってもいいや」。あれ、これ聴いたことある気がするけど誰だろう?と思っていたら、まさかのホロライブ所属のVTuberアーティスト。VTuberという偏見はないし、というか星街さんはもはやメインストリームのアーティストだけれど、これもまたぴったりガンダムにハマっていて。この起用の仕方にも、制作側の「チャレンジ」を強く感じました。

「ガンダム」を全く観たことがなくても、例えば映像を生業にしたいと感じる方や、異なる分野を横断してつなげるような編集者などは、絶対に観た方が良い。

2023年、「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」で私は度肝を抜かれました。その流れはもちろんある中で、そのカウンターとなり得る作品が日本から生まれたことを嬉しく思います。

これはアニメシリーズとしてテレビ放送されることが決まっています。ただ、映画の内容がそのまま放送されるとは限らない。それに、映画ならではのダイナミクスは、映画館でしか味わえないもの。

だからこそ、ぜひ、映画館に足を運んでください。

大きなスクリーンで、新しく実験的で、クリエイティブなガンダムを観てもらえたらと思います!

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堀聡太
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