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エストニアの極小オフィスは、全く新しい市場を創造するかもしれない。

日本でもデザイン性に優れた狭小住宅の需要があるようですが、エストニアのÖÖDが展開する極小オフィスは、全く新しいマーケットを開拓しそうな予感です。

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ÖÖDは2016年、ティーク兄弟が立ち上げたプロジェクトだ。週末にハイキングを計画していたが、滞在する場所がありふれたログハウスしかなかったことに不満を抱き、自分たちの求める美しさ、サイズ、質に合致する極小住宅を作れないか?と考えたのが始まりだ。

「北欧のミニマリズム」と称されるだけあって、彼らのデザインした極小住宅はデザイン性に優れている。必要最低限のものだけが用意されており、仕事や執筆などに集中できる空間としてデザインされている。(スペースはたったの21平方メートルしかない)

都内で時々見掛ける狭小住宅は、あくまで「家」としての機能を有している。だがÖÖDは、仕事や生活をする上での補助的な要素のみに絞り、プロダクトとしてブラッシュアップしてきた。

結果的に、

・集中して仕事をしたい
・1on1でミーティングする場がほしい
・誰もいない場所でくつろげる空間がほしい
・家族に気兼ねなくリモートワークしたい
・オフィス内に、休憩室として用意したい
・コロナウィルスの軽症者向けの待機場所にしたい

といった、様々な用途に応えることができる。

日本だと、地域の家々に時々付随しているような、小屋や倉庫、蔵のような立ち位置だろうか。だがそこはあくまで荷物などを置いておく場所であり、人間が長時間滞在することは(あまり)想定されていない。

土地さえあれば「Amazonで206万円で買える」というのもユニークな点だ。値段は高額のように見えるが、ホームオフィスという文脈で捉えると非常に安い。

ホテルやオフィス、スタジオやヨガルームなど様々なプロダクトを展開しているÖÖDだが、ある程度、それぞれがモジュール化されて設計されているはず。そうなるとコストメリットも十分あり、いち早くブルーオーシャンで存在感を示しそうだ。

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日本でも数年前からシェアオフィスという選択肢が一般的になっている。自前のオフィスを持つのはコストがかかるため、共有スペースで付帯設備をシェアしながら利用することで企業の固定費を抑えることができている。

分かりやすいビジネスモデルゆえに、シェアオフィス市場は、今や多くのデベロッパーが参入するレッドオーシャンになっている。

僕も昨年、都内のオフィスを契約するために様々なシェアオフィスを見て回った。価格帯に幾つかレンジはあるものの、どれも代わり映えのしない「サービス」だなと感じた。

ぶっちゃけ、ÖÖDが展開するプロダクトを日本にそのまま横展開しようとしても、需要が顕在化していないため「売れる」までに時間を要するだろうとは思う。それでも「何となく需要はありそう」という予感のもと、余白を楽しみながら市場を創っていけるのは非常に楽しいかもしれない。

極小オフィス、この辺りのマーケットは今後注目していきたい。

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ほりそう / 堀 聡太
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