そういうふうにつくっているのだから。(映画「デンジャラス・ラン」を観て)

「デンジャラス・ラン」
(監督:ダニエル・エスピノーサ、2012年)

南アフリカに潜伏していた元CIAエージェントの逃亡劇を描くアクションムービー。主演はデンゼル・ワシントン。相棒役として、アクションスターとして脂が乗り始めていたライアン・レイノルズを起用している。(若く見えるが、当時すでに30代後半だったんだな)

CIA絡みのスキャンダルを巡り、工作員、経営幹部、傭兵軍団たちがドンパチを繰り返すアクション映画……と記すと、「ああ、いわゆるハリウッドっぽいやつね」と思われるだろう。まあ、実際その通りなのだけど、舞台である南アフリカでけっこう激しい銃撃戦を何度も繰り返すスタイルには、どちらかといえば「呆れ」に近い感情を覚えた。

「呆れ」と書いたけれど、disではなく褒めているつもりだ。

執念に近いほどに反復を繰り返すような手法が時折見られる。インサートの如何によっては「くどい」「うざい」という評価が下されるけれど、例えば「ジョン・ウィック」シリーズに見られるような、頭部を銃撃するような「殺し方」はもはや作品を象徴するものとして見做されているだろう。「デンジャラス・ラン」にはそういった反復は見られないものの、アクションシーンの一つひとつがどれもおざなりにならず、丁寧かつ大胆につくられているのが印象的だった。こういった作り方をする映画監督は信頼できる。

「ゴジラ-1.0」の感想でも書いたけれど、映画監督が「何を描きたいと思ったか」は非常に重要だ。「デンジャラス・ラン」におけるダニエル・エスピノーサ監督もまた、「何を描きたいのか」を丹念に見極めないと、的を得た評価は下せないだろう。

物語が淡白で、これといった新鮮な展開がない。

その通りだろう。そういうふうにつくっているのだから。

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ダニエル・エスピノーサ監督の作品は初見でした。

同監督の作品は、ここからディストピア系のSF作品「ライフ」や、マーベルコミックのキャラクターを主人公に置いたダークアクション「モービウス」につながっていくようです。ジャンルの異なる作品だけに、どんなショットの作品になっているのか想像しづらいのですが、「デンジャラス・ラン」でとても気になる存在の監督になったのは確か。

引き続き、彼の作品をチェックしてみようと思います。

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ほりそう / 堀 聡太
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