『読んでいない本について堂々と語る方法』を読む
『読んでいない本について堂々と語る方法』
ピエール・バイヤール 著
大浦康介 訳
ちくま学芸文庫 (2016.10.10)
はじめに
読んでいない本について堂々と語る。
と云う大胆なタイトルです。
よく読んでいくと「読んでいない本について語ることが正真正銘の創作活動である」と書かれている。p.270
つまり、しかじかの本を読んで内容を話す(語る)のではなく、その本の「全体の見晴らし」を掴んでいるかが大事なのです。p.22
では、「読んでいない」とは。
1) 本は読まないが、それでいて本を知らない訳ではなく、本について語らない訳でもない。pp.22〜38.
教養があるとは、自分がどの位置にあるかがわかっていること。p.33
2) ざっと流し読みをした本。pp.39〜65.
全体の見晴らし p.39
3) 人から聞いたことがある本。pp.66〜87.
共有と云う概念 p.66
4) 読んだことはあるが忘れてしまった本。pp.88〜102.
時間と云う次元 p.89
心がまえ
書物において大事なモノは書物の外側にある。p.243
自分にも他人にも「読まない可能性」「夢見る可能性」を残しておく。 p.245
1冊の本を読むのに適した時間は、10分である。オスカー・ワイルド p.247
結び
感受性を磨く p.268
みずから創作者になる p.269
読んでいない本について語ることが正真正銘の創作活動であり、そこでは他の諸芸術の場合と同じレベルの対応が要求される。
作品に潜在する諸々の可能性や、作品がおかれている状況。
人々の反応に注意を払ったり、人の心を捉える能力に思いを馳せる。
読んでいない本について語ることは、創造の諸条件との出合いの形である。
『読書と社会科学』内田義彦 著
岩波新書(1985.01.21)
社会科学では、概念と云う装置を使って現象の奥にある本質を見きわめようとする。
自前の概念装置をいかにして作るか。そのために本は、どう読むべきか。
(創造現場の社会科学 pp.101〜209.)
2021.10.29.